【セリエA現地コラム】至上命題のCL出場を逃す――。インテルはなぜ失速したのか?

2016年05月06日 片野道郎

マンチーニ監督に及第点を与えるのは難しい。

前半戦はミランダ(左)とムリージョ(右)を中心とした堅い守備で1-0の勝利を積み重ねたインテル。だが、徐々に失速していった。(C)Getty Images

 今シーズンのセリエAでもっとも大きく期待を裏切ったチームは? という問いに「インテル」と答えても、それに異論を挟む向きはそう多くないはずだ。
 
 前半戦は堅守を武器にした手堅い戦い方を貫き、1-0の勝利を積み重ねて首位でウインターブレイクを迎えながら、年明け以降の急な失速で一時は5位にまで転落。至上命題だったチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権(3位以内)を獲得できなかった。レギュラー陣の大半を入れ替える派手な補強で、トップ3入りはもちろん、スクデットまでも視野に入れて開幕に臨んだことを考えれば、ロベルト・マンチーニ監督の仕事に及第点を与えるのは難しい。
 
 シーズンを振り返ってみると、前半戦と後半戦の数字はあまりにも対照的だ。ここまでの36試合を2つに分けると、年明け初戦となった18節のエンポリ戦(1-0の勝利)と続く19節サッスオーロ戦(0-1の敗戦)が分水嶺となる。
 
 前半18試合の成績は12勝3分3敗(勝点39/24得点・11失点)で、この時点で順位は1位。後半18試合は7勝4分7敗(勝点25/23得点・23失点)で、順位は4位まで下がっている。同じ18試合だが勝ち数が5つ減って、そのうち4つが負けに回った勘定だ。
 
 その原因が端的に表われているのは、11から23へと倍以上に増えた失点だろう。得点は24から23とほとんど変わっていないが、いずれにしても1試合平均にすると1.3点前後に過ぎない。前半18試合で挙げた12勝のうち9勝が1-0での勝利なのだから、失点が増えれば負けが込むのは当然の結果である。
 
 しかしこれはあくまで数字上の話。ピッチ上の試合内容という点から見ると、この失速にはどんな原因があったのだろうか。
 
 1-0で勝利を重ねていた前半戦のインテルでもっとも特徴的だったのは、試合ごとにシステムとメンバーがころころ変わることだった。当初は4-3-1-2でスタートしたものの、相手によって4-4-2や4-3-3、4-2-3-1から果ては3バックの3-5-2までが使われた。
 

次ページ相手の長所を消すサッカーに終始した。

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