ミラン番記者の現地発・本田圭佑「ミハイロビッチ監督は背番号10の復帰を待ち望んでいる」

2016年04月07日 マルコ・パソット

ミランは1年前と同じく「強制合宿」に入った。

本田が故障欠場したアタランタ戦は1-2で敗北。途中出場したバロテッリ(手前)も違いを作れなかった。写真:Alberto LINGRIA

 ドラマチックにも悲しいことに、状況は1年前とまるで同じになってしまった。今のミランには希望もなければ、現状に抗う力もない。いま一度再起し、今シーズンを尊厳ある形で終わらせる兆候が、まるで見られないのだ。
 
「状況がまるで同じ」というのは、決して言葉のあやではない。2015年の4月、ウディネーゼに破れたチームに当時の指揮官フィリッポ・インザーギは「ミランに相応しくない選手たちがいる」と激怒し、クラブは懲罰的意味合いの濃い無期限の合宿を命じた。
 
 あれからちょうど12か月後の今、ミランはまたも強制的な練習合宿に入っている。ただ今回この処置を決めたのは、監督のシニシャ・ミハイロビッチだ。もちろん、チームの了承を得たうえでだ。
 
 代表戦で右足を打撲した本田圭佑が欠場した4月3日のアタランタ戦を1-2で落とし、その日の夜から選手たちはミラネッロ(ミランのトレーニングセンター)に缶詰状態。少なくとも4月9日のユベントス戦が終わるまでは続く予定で、その後はこのビッグマッチの出来次第だろう。
 
 2016年の最初の2か月の結果を帳消しにするにしても、これほど酷い形はないのではないか。そんな方法でミランはまたも低空飛行に入った。9試合無敗(5勝4分け)という記録は、日向の雪のように跡形もなく消えてしまった。その後は4試合でたった2ポイント(2分け2敗)という体たらく。それもすべて、ミランより下位のチームと対戦しての話だ。「格下に弱い」のは、何も今に始まったことではないが……。
 
 ミラネッロに日参している記者たちは、この急降下の理由を揃ってこう分析している。「ミランはコッパ・イタリアの決勝進出を決めた時点で気力が尽きてしまったのだ」と。5月22日の決勝でもし優勝できれば、もちろんヨーロッパリーグ(EL)の出場権が手に入るし、例え負けたとしてもユベントスのチャンピオンズ・リーグ参戦(セリエA3位以内)はほぼ確定しているので、ELの出場枠が一つ増える(セリエA4~6位)。
 
 そう、ミランの選手たちは「今シーズンの目標はほぼ達成された」と思いこんでしまったのだ。

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