【湘南】開幕5戦、未勝利。『湘南エクスプレス』がトンネルを抜けるための3つの条件とは?

2016年04月05日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

例えば高速道路を走っている時、獣が出てきてスピンしたとして――。

パウリーニョは局面で存在感を発揮。すでに2ゴールを奪い、J2でプレーしていた昨季から明らかに“進化”を遂げている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 0勝2分3敗――。湘南が5節の神戸戦を1-2で落とした。開幕から未勝利のまま勝点2しか奪えず、17位に低迷している。
 
 8ゴールは6位タイだが、12失点はリーグワーストである。ただし、昨季は通算40得点(13位)・44失点(9位)という成績で、ゴール数が1試合平均1.18と伸びなかった。その反省を踏まえて、新シーズンは攻撃に重点を置いて取り組んできただけに、失点の増加はある意味「副作用」と捉えられる。
 
 だから一概に、現時点で増加した失点面にばかり目を向けるべきではないだろう。とはいえ、リーグ戦は全試合失点を喫しているのは事実。神戸戦は、奈良輪のやや弱めのバックパスを、村山がキックしたところ、ペドロ・ジュニオールにブロックされて、その流れで渡邉に叩き込まれた。単純なミスだった。
 
 その失点時について試合後に問われた曺監督は、次のように言葉を選びながら語った。
 
「例えば高速道路を走っている時、獣が出てきて急ブレーキを踏んだけれどもぶつかってスピンしてしまったとする。
 
 ドライバーは、不注意ではなかったかもしれないが、予知できたのではないか、減速しておけば良かったのではないか、と考えを巡らせることになる。しかし、それは急ブレーキをかけざるを得なかった我々の車自体に、足りないものがあったのではないかとも思う。このチーム自体に、なにか見えないもの、私のコーチングの質を含めて、そう言われているように思う」
 
 "流れ"に乗り切れないチーム状態が、その失点に象徴されていたのではないか。そのように解釈できるコメントだった。
 

次ページ神戸戦の18分、伝家の宝刀を抜こうとするハイライトシーン。寸前に「刀」が出てこなかった。

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