【EURO2016開催地を巡る旅】第1回:サンドニとスタッド・ド・フランス「フランスを象徴する聖地」

2016年02月16日 結城麻里

フランスの三色旗のうち2色を最も象徴する街。

開幕戦や決勝などを行なうサンドニのスタッド・ド・フランスは、EURO2016のメインスタジアムとなる。(C)Getty Images

 フランスの"空の玄関"シャルル・ドゴール空港から高速道路A1でパリに向かうと、やがて左手に巨大な楕円スタジアムが見えてきます。「フランスを象徴する聖地」と呼ばれる、スタッド・ド・フランスです。EURO2016では開幕戦(フランス対ルーマニア)や決勝戦の舞台となるこの多目的スタジアム。巡礼の旅も、このスタジアムから開始しましょう。

 実は、スタッド・ド・フランスに来るたびにフランス人ファンの耳朶に蘇るフレーズがあります。その謎解きは後述するとして、まずはこのスタジアムを抱えるサンドニ市について紐解いていきましょう。パリ市などに次ぐ首都圏第3位の人口11万人を抱えるサンドニ市は、フランスの三色旗のうち2つの色をある意味で最も象徴する街です。
 
 第一は"白のフランス"です。それはバジリック・カテドラル・ド・サンドニ(サンドニ大聖堂)に静かに眠っています。スタッド・ド・フランスからもさほど遠くないこの大聖堂は、白ユリの紋章で知られるフランス王家の墓所なのです。
 
 大聖堂をとくに有名にしているのは、ネクロポル・ロワイヤル(王家の大墳墓)と呼ばれる中心部分。そこには、フランス歴代王のほとんどと言っていい約70人の王と王妃の墓があり、墓石の上には「ジザン」と呼ばれる横臥像が、繊細かつ芸術的な彫刻となって横たわっています。
 
 シャルル7世、カトリーヌ・ド・メディシス王妃、アンリ4世、太陽王ルイ14世らはもとより、18世紀のフランス革命でギロチンの露と消えたルイ16世とマリー・アントワネット王妃もここに眠っています。王制を倒して共和国を樹立したフランス人は、この大聖堂を訪れ、国のルーツに想いを馳せます。
 
 パリ市内からメトロで行けるこの大聖堂には日本語案内書もあり、見学時間は1時間あまり。一般料金8.5ユーロ(2015年末現在)で、パリミュージアムパスも使用できます。EUROで現地を訪れた際は、試合前の午後のひとときなどに見学をお薦めします。

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