【名古屋】プレシーズン3連敗の”小倉グランパス”が、それでも手応えを得ている理由

2016年02月15日 今井雄一朗

G大阪戦の後半に見せた小倉スタイルの片鱗。

左SBに入った安田(33番)。チームの歯車が噛み合った後半にギアを上げて攻撃を活性化した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 G大阪に1-3で敗れ、プレシーズンの対外試合は3連敗(湘南戦/1-2、鳥栖戦/0-2)。いまだ名古屋は、勝利の歓喜を得られていない。だが、G大阪戦は小倉隆史GM兼監督が提唱する「5人目まで連動するサッカー」の脈動が感じられた意味のある一戦だった。

 ポイントは後半の戦いぶりだ。前半はやや硬さも見られ、吹田スタジアムのこけら落としというG大阪にとっては負けられない一戦の雰囲気に飲まれたところもあった。

 1失点目のカウンターを防ぎきれなかった古林将太は、「やっと試合をしている感覚だった」と試合勘の鈍さを感じてもいたという。前半の名古屋はチーム全体にどこかふわふわとした反応の遅れが見られ、セットプレーではマンマークを完全に外されて2失点目も喫している。
 
 この失点で目が覚めた、では公式戦なら致命的とも言えるが、プレシーズンマッチで、しかも3試合目の実戦という新チームにとっては良い薬になった。

「2点のビハインド、まずは点を取りに行こう」(竹内彬)と選手が奮起し、小倉GM兼監督も「やってきたことをしっかり出していこう」と改めてやるべきことを確認。今季の始動からの1か月間を通じて何度も繰り返してきた攻守のコンセプトを全員が意識したことで、チームは息を吹き返した。
 
 まず変わったのが、選手の距離感だ。沖縄キャンプでの2試合のトレーニングマッチを通じて課題となっていたのが、全体が間延びし、パスをつなごうにも前線への距離がありすぎて、横パスの連続になってしまっていたことだった。
 

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