【イタリア代表】EUROを見据えて導入した「実質4-2-4」の全貌

2015年11月19日 片野道郎

ベルギー戦では「個のクオリティー」の差を見せつけられた。

11月13日のベルギー戦は、70分あたりまでほぼ互角。しかし、最終的にはデ・ブルイネ(中央)などの打開力に翻弄され、1-3の敗戦を喫した。(C)REUTERS/AFLO

 パリの同時多発テロ事件にフットボール界も巻き込まれ、騒然となった今回の国際Aマッチウィーク。イタリア代表は13日にブリュッセルでベルギー、17日にボローニャでルーマニアと対戦し、1分け1敗という成績に終わった。
 
 アントニオ・コンテ監督率いるアッズーリが、半年後のEURO2016で結果を出せるだけの実力を備えているか、まだ楽観できる状況にはない――。この2試合の戦いぶりが与える印象を端的に言うと、そんなところだろう。
 
 FIFAランキング1位のベルギーとの試合は1-3の敗戦。開始3分に先制したものの、その10分後にCKから同点にされ、それから後半半ば過ぎまではなんとか渡り合ったが、終盤には力の差を見せつけられるという展開だった。
 
 明らかだったのは「個のクオリティー」の差。イタリアは組織的なプレッシングが機能し、チームとして戦えた70分あたりまでは、ほぼ互角の戦いを見せた。後半の立ち上がりにはエデルのシュートがクロスバーを叩くなど、勝ち越しのチャンスも作っている。
 
 しかし終盤になって陣形が間延びしてくると、ケビン・デ・ブルイネ、エデン・アザール、ヤニック・カラスコといったテクニシャンの個人技に振り回され、一方的に押し込まれて3失点(74分、82分、87分)を喫する結果となった。
 
 個人能力という意味では、コンテ監督は常々こう口にしてきた。
 
「大きな違いを作り出すタレントがいない以上、チームとしての結束と連携を高めていく以外に道はない」
 
 ユベントスを率いた当時(2011~14年)から、攻守ともにシステマチックな戦術パターンをチームに浸透させ、組織的な連携で違いを作り出すのがコンテ監督の流儀だ。
 

次ページ「実質4-2-4」の鍵を握るのはウイングだ。

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