【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「チーム内での孤立を深めている」

2015年11月10日 マルコ・パソット

本田を高く評価してきたミハイロビッチ監督までもが…。

ミランのミハイロビッチ監督は、11月6日の会見で本田に対して手厳しい意見を口にした。(C)Alberto LINGRIA

 本田圭佑とミランの物語が、もし"取り返しがつかない"ところにまできてしまっているとすれば、10月4日と11月6日という2つの日付は大きな意味を持っている。
 
 この1か月の間に、両者の関係は大きく変わってしまった。セリエA7節のナポリ戦が開催された10月4日は、みなさんもご存じの通り、本田がチームやサポーターの態度、そして自分の起用法を嘆いた日だ。
 
 そして11月6日は、セリエA12節のアタランタ戦の前日会見で、シニシャ・ミハイロビッチ監督がかつてないほど厳しい口調で本田を断罪した日である。
 
 本田のミランにおける立場は日を追うごとに厳しさを増しており、このままさらに悪い方向に向かう可能性が極めて高い。
 
 今夏の就任以来、ミハイロビッチはずっと本田を高く評価してきた。それが先の会見では一変、急に手厳しい言葉を吐き出した。
 
 記者の「本田が移籍を希望しているという報道をどう思うか?」という質問に対し、指揮官はこう答えたのだ。
 
「ミランに所属する者は、このチームに満足していなければいけない。もし不満があって出て行きたいなら、出ていけばいい。本田にはプレーするチャンスがあったと思う。我々のチームにはマラドーナもいなければ、メッシもいない。つまり、問答無用でポジションが保証される選手などいないんだ。試合に出るには、誰もがその前の1週間に必死で練習する必要があり、そうでなければチャンスは巡ってこない。だから出場機会が少ないからといって、私を非難するのは全くのお門違いだ。非難するなら自分をすべきだ。すべてはピッチでの出来不出来次第だ」
 
 非常にハードな分析だ。本田のみならず、チーム全体に向けたメッセージにも見えるが、もちろん本田もチームの一員だ。
 
 とにかく、今回のミハイロビッチのコメントは、1か月前の本田の発言に直接的に答えた形となった。
 
 本田の去就について直接は踏み込んでいないが、ピッチでの出来の悪さを嘆いた。まるで不満があるのは本田ではなく、自分のほうだとでも言わんばかりに……。
 
 つまり本田の嘆きは、より激しさを増して自分に返ってきたのだ。

次ページ監督主催のディナーをわずか1時間足らずで退席した。

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