【日本代表/編集長の視点】本田と宇佐美の選出は妥当なのか。代表の場に指定席はいらない

2015年11月05日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

本田は10月以降のリーグ5試合で20分程度しか出場していない。

代表では確かに勝負どころで仕事をしている。ただ、ミランでの現状を考えれば本田の招集を見送ってもよかったのではないか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 11月に行なわれるシンガポール戦とカンボジア戦のメンバーに、なぜ本田は選ばれたのか。
 
 確かに今回のワールドカップ・アジア2次予選の活躍ぶりを振り返れば、本田は不可欠な戦力だ。9月3日のカンボジア戦では思い切りの良いミドルから先制弾を叩き込み、10月8日のシリアとのアウェーゲームではPKで決勝点を決めるなど、勝負どころで大きな仕事をしている。
 
 加えて、現代表メンバーのなかでは誰よりもボールが収まり、攻撃の起点になっている。チュニジアやイラクとの親善試合でもさすがの存在感を示しているのだから、冒頭の疑問は単なる"クレーム"に過ぎないと批判されても致し方ない。
 
 とはいえ、見逃せないのはハリルホジッチ監督のコメントだ。11月5日のメンバー発表会見で、指揮官ははっきりとこう言った。
 
「(就任)1年目はできるだけ新しい選手を見たい。レベルとパフォーマンスが良くなければ、A代表には入れない」
 
 その選出基準に照らし合わせると、本田の招集には疑問符が付く。
 
 なにしろミランではサブ扱いで、10月以降のリーグ5試合で20分程度しか出場していないのだ。4日のナポリ戦が不出場、17日のトリノ戦は88分から、25日のサッスオーロ戦は89分から、28日のキエーボ戦は85分から、11月1日のラツィオ戦は81分から途中出場と、惨憺たるものである。
 
 過去の実績はともかく、クラブで出番に恵まれない選手が代表に相応しいのかと言えば、決してそうではないだろう。実際、ハリルホジッチ監督は、浪人中の川島をコンディション不良という理由でメンバーから外している。
 
 もちろん、川島と本田の状況を同じ土俵では比べられない。クラブに所属中の本田と、無所属の川島では精神的な状態も違うだろう。
 
 ただ、試合勘に不安があるという点で本田は川島とほぼ変わらない。その観点からすれば、今回は本田の招集を見送ってもよかった。ちなみに、今季の出場時間は少ないが、インテルの長友はここにきてマンチーニ監督の信頼を得つつある。

次ページ疲労困憊に映る宇佐美を、このタイミングで休ませる手もあった。

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