「葛飾区で盛り上がりたい」南葛SCの背中を押すサポーターたち。その情熱的行動に秘められた原動力

2021年10月25日 伊藤 亮

“リアル“南葛SCのサポーターたち<前編> 私がサポーターになった理由

南葛SCを後押しするサポーターたち。地元・葛飾区の人々が大半を占めている。(写真は2020年のもの)。写真:サッカーダイジェスト

 漫画『キャプテン翼』の原作者・高橋陽一氏が代表を務める南葛SCが、関東サッカーリーグ2部に昇格して1年目。シーズンはまだ終わっていないが、リーグ戦は全日程を終了した。

 今シーズンもまた、コロナ禍に翻弄されたシーズン。約2年にわたり、チームを現地で応援できていないサポーターたちはどのように過ごしていたのか。

 地元・東京都葛飾区に暮らす南葛SCサポーター3名に、チームを応援する理由から、特異な状況下での活動までを伺った。

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 全国に存在するサッカーチームの多くがそうであるように、南葛SCの応援風景もまた特色豊かだ。

 ここ2シーズンはコロナ禍により思うように応援はできていない。今シーズン有観客で開催されたホーム試合は、関東サッカーリーグ2部・前期2節の横浜猛蹴戦のみ。その時もスタンドには『キャプテン翼』の主人公、大空翼の恩師であるロベルト・本郷に扮したサポーターもいれば、"あねご"こと中沢早苗の格好をしたサポーターもいた。グラウンドには「ロベルトノートの52ページを忘れるな!」という横断幕が掲げられ、アニメソングを基調とした応援歌が聞こえる。これまで見られた光景が久しぶりに再現されたことに、関係者の多くは安堵感に似た心地よさを感じたはずだ。

 この応援を牽引するひとりがドイさん(ハンドルネーム/男性)だ。2014年、南葛SCが東京都サッカーリーグ3部から活動を始めて以来、公式戦は最初の1試合を除く132戦連続現地観戦中という最古参のつわものである。

「45年来サッカーが好きで。でもサッカーは俯瞰で観戦しつつ、応援しているチームはなかったんです。それが家の近所をホームとするクラブができるということで、これは見に行かなければ、と」

 同じくチーム発足当初から応援し続けているのが、たばさん(HN/男性)。南葛SCの試合時に、一目で分かりやすいロベルトの格好をしている張本人だ。

「最初は町に貼られていたポスターを見かけたのがきっかけでした。僕は『キャプテン翼』世代なので、世界中にファンのいる『キャプテン翼』を象徴としたチームがJリーグを目指すというところにワクワク感を感じました」

 このたばさんに声をかけられ、最近サポーターになったのがよこちゃんさん(HN/女性)。南葛SCに興味を持った時はすでにコロナ禍だった。

「もともとサッカー好きで海外サッカーをずっと見ていたんですけど、ある日地元の葛飾区に南葛SCというチームがあるという話が耳に入ってきまして。ただ、周りにサッカー好きな女子がいなくて、なかなか近寄れずにツイッターでつぶやいていたら、たばさんにサポーターのコミュニティを紹介してもらったんです」

 現地観戦歴は先述の関東2部・前期2節の横浜猛蹴戦のみ。そのほかはリモート観戦だが、SNSを駆使した新しい形の応援をしてきた。化粧品業界で働くスキルを応用して、よこちゃんさんのツイッターには毎回30分~1時間かけて作った応援バナーが数多くアップされている。
 サポーターになる理由は人それぞれ。活動のしかたも人それぞれだ。そして、話を聞き進めていくうちに、南葛SCというクラブに抱く愛着や情熱の理由もそれぞれあることが分かってきた。
 

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