日本代表、4年前の屈辱が想起される完全アウェーのジッダでの戦い。過酷な気候・環境に、問われる指揮官のマネジメント力

2021年10月05日 元川悦子

「空港に着いて外に出た瞬間、『暑っ』と思った」

2017年のロシアW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦のスタメン。超満員のアウェー戦となった。写真:サッカーダイジェスト

「こんなに『ド・アウェー』でやることは、ホントになかった。今までアウェーで広州恒大が一番すごいと感じてましたけど、それも比にならないくらいの迫力があったし、ホントにこのスタジアムで体験しないと分かんないこと。暑さもそう。湿度は日本に近いって言われるけど、日本でやってる僕もなかなかこの環境ではできない。難しかったですね」

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 これは、2017年9月6日のロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・サウジアラビア戦(ジッダ)後の昌子源(G大阪)のコメントだ。

 4年前の0-1の屈辱的敗戦を経験している長友佑都(FC東京)、吉田麻也(サンプドリア)らの苦い記憶を忘れていないはず。日本代表は7日(日本時間8日未明)に同じキング・アブドゥラー・スタジアムでサウジに挑むが、すでにオマーンに取りこぼしている以上、同じ轍を踏むことは絶対に許されない。過去の教訓をしっかりと生かすべきだ。

 そこで、前回最終予選のラストマッチを改めて振り返ってみると、この時の日本は7日前のオーストラリア戦(埼玉)を2-0で勝利。ロシア切符を手にした直後だったが、サウジにとっては本大会出場権がかかった大一番。まず両者のモチベーションには差があった。

 このうえで、日本はケガの長谷部誠(フランクフルト)と香川真司(PAOK)がサウジ遠征に不参加。大迫勇也(神戸)もベンチ外となる中、本田圭佑(スドゥーバ)、岡崎慎司(カルタヘナ)が先発に名を連ねた。が、当時の日本代表で苦境にあった2人は揃って精彩を欠き、結果を出せなかった。オーストラリア戦で躍動感を見せた山口蛍(神戸)や井手口陽介(G大阪)、浅野拓磨(ボーフム)らも長距離移動と時差、高温多湿の気候が重くのしかかり、動きが悪かった。

 そこに追い打ちをかけたのが、現地ファンの大声援。白装束姿を中心とした熱狂的な男たちの大声援が響き渡り、暑さと息苦しさの入り混じった異様なムードに気圧された日本は、63分に最終ラインの背後をアル・ムワラド(アル・イティハド)に抜け出され、まさかの失点。そのまま敗れ去る形になってしまった。

「すごい雰囲気があったし、暑い中で本当に苦しい試合だったから、苦い思い出がある」と長友は当時を回想。浅野も「スタジアムの雰囲気と環境が難しかった。特にすごく暑かったし、体力的にも厳しい戦いになった」と神妙な面持ちで言う。「今回も季節的にはそんなに変わらないですし、昨日空港に着いて外に出た瞬間、『暑っ』と思った。間違いなく体力的にもメンタル的にも簡単なゲームにならない」と快足FWは警戒心を募らせていた。
 

次ページ予想最高気温は37度、湿度は70%以上。日本にとって過酷な条件

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