前橋育英の10番・笠柳翼が長崎入団内定! 41歳名手のプレーに抱いた憧れと感銘受けた人間性「本当に凄い人だと…」

2021年10月04日 安藤隆人

代表入りへ「海外でプレーする選手がほとんどで…」

前橋育英からJ2長崎への入団が内定した笠柳。写真:安藤隆人

 10月4日、前橋育英MF笠柳翼の来季Vファーレン長崎入り内定が発表された。今年から前橋育英の10番を背負う彼にとって、これはまさに『不退転の覚悟』を持って掴み取ったものだった。
 
「A代表を見ていても海外でプレーする選手がほとんどで、そうしないとA代表に入れない流れになっています。その大半が高卒プロもしくは高校でプロデビューしている選手ばかり。それに五輪代表を見ても、以前は国内の選手が多かったのに、東京五輪では多くが海外組という現実も見ました。だからこそ、逆算して早くプロの世界に飛び込みたいと思っていました」

 自分の未来から逆算をした上で、高卒プロになることを心に決めていた。だが、決意をしただけでその権利を掴み取れるわけではない。それに昨年の彼は常に交代の1番手ではあるが、スタメンを飾ることができない『12番目の選手』だった。

「自分の中では2年で活躍をしてプロから声をかけてもらうイメージだったのですが、昨年は途中出場という枠から飛び出せなかった。武器であるドリブルも出し切れた印象はなく、苦しい時期だったのですが、年が明けた時に『新チームになったら絶対に中心として活躍して、プロからのオファーを掴む』と改めて強い覚悟を持ち直すことができた」

 彼が狙っていたのは春のフェスティバルでの『爆発』だった。得意のドリブルを駆使して、ゴールを奪い切れる選手になる。自主トレで仕掛けからフィニッシュまでの形を、常に実戦をイメージしながら黙々と取り組み、何度も左右の足を振り抜いた。すると3月のプーマカップ群馬で彼は左サイドハーフとして切れ味抜群のドリブルと、アタッキングエリアに入ってからシュートとパスの判断力の高さを示して、前橋育英の攻撃の中枢として大きく飛躍してみせたのだ。

 この大会を境に、Jクラブのスカウトの口から「笠柳」という名前を耳にする機会が増えた。プリンスリーグ関東が開幕してからも、彼のドリブルの切れ味はもちろんのこと、球離れのタイミングと受け直してからの仕掛けのスピードなど、アタッキングエリアでの精度の高いプレーは観る者を惹きつけた。
 

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