サウジ&豪州の攻略法は? 最終予選の命運を握る10月シリーズ、森保ジャパンはいかに戦うべきか

2021年09月29日 河治良幸

1トップのアル・シェフリは要警戒だ

サウジ戦で気をつけたいのは、不用意なファウルで相手に好位置でのFKを与えること。吉田(写真)ら過去に最終予選を潜り抜けてきた選手たちの経験を活かしたい。(C)Getty Images

 最終予選の命運を握る10月の2試合だが、7日のサウジアラビア戦は予選10試合の中で最も厳しい戦いになることが予想される。ジッダのキング・アブドゥラー・スポーツ・シティは5万人収容だが、60%の3万人動員が許容されており、日本代表が最近体感していない完全アウェーに近い雰囲気になることが想定される。

 ロシア・ワールドカップでモロッコを率いたエルヴェ・ルナール監督が率いるサウジアラビアは、ここまで順当に2連勝。ホームの初戦ではベトナムを相手にいきなり先制されたものの、そこから2つのPKを獲得するなど3得点。相手の退場にも助けられて3-1と快勝した。日本を破って勢い付いたオマーンにはアウェーで難しい戦いを強いられたが、しっかりとボールを握りながら前半の終わりに決めたアル・シェフリのゴールを最後まで守り切って、勝点を6に伸ばした。

 ルナール監督は前任者のアントニオ・ピッツィほどボールポゼッションにはこだらないが、ボランチのアル・マルキやモハメド・カンノあるいはアブドラ・オタイフのところでボールを失うシーンが非常に少なく、左右のアタッカーであるサーレム・アル・ドサリとアル・ムワラドが前を向いて仕掛ける状況をうまく作り出している。

 最も厄介なのがトップ下のアル・ファラジュだ。2019年アジアカップのラウンド16で対戦した時に彼はいなかったが、サウジアラビアの中では最も攻撃の変化を付けられるタイプで、彼がボールを持つと攻撃に明確なスイッチが入る。左サイドバックのアル・シャハラニは推進力が高く、アル・ファラジュやアル・ドサリがタメを作る間に追い越して、危険なマイナスのクロスを上げてくる。
 
 そうした厚みや変化に加えて、注意しないといけないのが、アル・ファラジュら2列目の選手たちのファウルのもらい方だ。"中東の笛"とよく言われるが、どの国の誰が担当してもサウジアラビアでのジャッジは非常に難しいものになるだろう。まして日本は普段から欧州基準でプレーしている選手が多く、相手のいやらしい倒れ方で危険な位置のFKが与えられるシーンは1度や2度ではないかもしれない。

 アル・ファラジュは直接FKの名手なので、試合前から頭に入れておく必要はあるが、実際にピッチで向き合ってみないと分からない情報もあるはず。そこは遠藤航や柴崎岳、吉田麻也など、過去に最終予選を潜り抜けてきた選手の経験を大いに生かすべきところでもある。ベトナムのようにPKを与えないことは大前提だが、できるだけ高い位置で試合を進めながら、はっきりと切るべきところは切って行くことが大事になる。

 そして冨安健洋のゴールを守り切って1-0で勝利した2年半前の対戦で、サウジアラビアに無かった武器が1トップのアル・シェフリだ。オマーン戦でも唯一のゴールを挙げたストライカーは、アジアカップ後に就任したルナール監督によって抜擢されたストライカーで、184センチの上背以上にゴール前の抜け目なさが決定力に結びついている。ハイボールだけでなく、速いクロスに合わせるのがうまく、欧州の主要リーグにもあまりいないタイプなので、吉田や冨安は常に警戒しておくべきだろう。

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