ファンに手を振るだけで年間7億円! ネイマールが驚愕の“珍ボーナス”を勝ち取った背景【現地発】

2021年09月25日 リカルド・セティオン

「あまりにも嘘っぽく、わざとらしかった」

明るみになったネイマールの「道徳ボーナス」は驚きの内容だった。(C)Getty Images

 ネイマールとパリSGの間に何か特別な約束があることは、誰もがなんとなく気がついていた。試合前の行動が明らかに、他の選手たちと異なっていたからだ。

 キックオフまでの15分、選手たちは思い思いにウォームアップをしたり、精神を集中させていたりしている。しかしネイマールだけは違う。一人スタンドに近づくと、ゆっくりフェンスに沿って歩き始め、サポーターに向かって投げキスをしたり、拍手をしたりしているのだ。

「他の選手はみんな身体を動かしているのに、ネイマールだけが挨拶して回っている。あまりにも嘘っぽくわざとらしかった」

 そう語るのはパリSGの前監督トーマス・トゥヘル(現チェルシー)のアシスタントコーチ、ゾルト・レーブだ。私もこの様子にいつも違和感があった。

 先日、スペインの『エル・ムンド』がその理由をすっぱ抜いた。ネイマールとパリSGの契約には、"道徳ボーナス"という世界でも珍しい条項が盛られていたのだ。ブラジル代表FWがホーム試合の前後にサポーターに挨拶をしていたのは、ただのファンサービスではなくやればボーナスがもらえるからだった。

 それにしても、なぜこんな条項が盛られているのか。ネイマールの行状が良くないから? 確かにそれもあるだろう。サンパウロでもバルセロナでもネイマールはいろいろ問題を起こしてきている。
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 この道徳ボーナスの規定は、サポーターへの挨拶以外にも、いくつかの"お約束"が決められている。時間をきちんと守って遅刻しない、メディアに礼儀正しく接する、審判に暴言を吐かない、公にチームを批判しない、チームメイトやスタッフに対するネガティブな発言をしはいけない、いつも良い子のお手本になるような行動をする…。

 この条項の一番の目的は、ネイマールにより多くのボーナスを渡すことにあると私は見ている。

 ネイマールをバルサから引き抜く時、パリSGは2つの"ご馳走"を用意して誘惑した。一つは2022年カタール・ワールドカップの顔、つまりオフィシャルアンバサダーにネイマールを任命すること(後にこの地位を降ろされているが)。もちろんこのポストには膨大な報酬がついてくる。そしてもう一つが様々なボーナスだ。

 ネイマールの契約には、多くのインセンティブが設定されている。リーグ優勝を果たした場合、フランスカップを勝ち取った場合、得点王になった場合、最優秀選手になった場合、もちろんチャンピオンズ・リーグで優勝、得点王、MVPになった場合もだ。

 そして、この道徳ボーナスだけは、ピッチの結果に関係なく、必ずもらうことができる。いわばお小遣いのようなものなのだ。ネイマールをチームにつなぎとめ、且つ行動も正してもらえるならば一石二鳥とパリSGは思ったのかもしれない。
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次ページ条項を破るような行動をしても、ボーナスはなくなるどころか増額に…

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