森保Jの攻撃に物足りなさを感じるのはなぜ? 日本は再び「守れるけど点が取れない」時代のサッカーに戻るのか

2021年09月09日 佐藤俊

度肝を抜かれた2013年オランダ戦の本田圭佑のゴール。絡んだ選手が同じ絵を描けていた

中国戦では決勝点を奪った大迫だが、10月の強敵相手の2連戦ではさらなる奮起が求められる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 選手がフリーに織りなす攻撃は美しい。

 異なる感性ながら同じ絵を描き、コンビネーションで打開してフィニッシュを決める。それはサッカーの醍醐味であり、最も美しいシーンのひとつだろう。

【日本代表PHOTO】9月の2連戦に招集された選手たち
 これまでいくつもの素晴らしいゴールを見てきたが、攻撃の型にハマらずに個々の選手の感覚でボールがつながり、度肝を抜かれたゴールがあった。

 2013年11月のオランダ戦のゴールだ。

 遠藤保仁から内田篤人へのパスで始まり、岡崎慎司、大迫勇也らが絡んで最後に本田圭佑がフィニッシュを決めたゴールは、絡んだ選手が同じ絵を描くことができなければ実現しなかった本当に美しいゴールだった。このゴールの価値は、そのプロセスもさることながらオランダという強豪相手に対して生まれたところにもある。ザッケローニ元代表監督が指揮したチームは、攻撃陣のアイデアが豊富で、それを実現する力があった。

 翻って今の代表チームはどうだろうか。

 2次予選では、爆発的な攻撃力を発揮。8試合で46得点を奪った。格下の相手に大量得点はそれほど簡単なことではないが、ボールは前にラクに運べるので、ラストは個の能力やコンビネーションで打開し、ゴールを量産していた。前線の選手は自由に動き、やりたいようにやれていた。

 だが、最終予選の初戦オマーン戦では、その姿が一変した。

 攻撃のイメージを共有しても実現するまでに至らず、連携面では小さなミスが目立ち、なかなかリズムに乗れなかった。2次予選、数センチずれても通っていたパスが通らくなり、逆に奪われてピンチを招いた。

 それは、選手の調子が悪かったこともあるだろう。いつもは左サイドにいる南野拓実がいなかった影響があったかもしれない。相手の戦術にハマり、大迫や鎌田大地が動きを封じられたのもあるだろう。

 だが、主力の不在やコンディションの悪さが敗戦の主因というのは、いささか寂しい限りだ。2次予選で見せた圧倒的な攻撃、大量得点が身につかないスパ―リングに終わったとは思いたくはないが、しかし、オマーン戦や中国戦での攻撃を見ていると明らかに物足りない。
 

次ページ中国戦も共鳴していたのは、大迫と伊東純也だけだった

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