「僕たちを必要以上にリスペクトしていないのは腹立たしい」。初戦黒星で蘇る本田の主張【編集長コラム】

2021年09月05日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

オマーン戦の日本は監督を含めた総合力で力負けをした

イラク戦後の本田の主張は、アジアの勢力図の変化を示すものでもなかったか。写真:サッカーダイジェスト

 カタールW杯アジア最終予選の大事な初戦で、オマーンに0-1と敗戦。決して油断したわけではないだろう。試合前の会見で、前回大会の最終予選での初戦黒星を経験している吉田麻也や酒井宏樹などは「同じ過ちを繰り返してはいけない」というニュアンスの発言をしていて、ホームで星を落とせばその後の展開が苦しくなることは十分に承知していたはずだ。

 それなのに、相手の術中にハマった形で完敗を喫した。5年前、同じ最終予選の初戦でUAEに敗れた試合はアップセットの感が強かった。 明らかに日本が押し込む時間帯があって、ツキがなかった印象もあったが、今回は違う。選手個々の戦いで劣勢を強いられる場面がかなりあって、戦術的にも明らかに劣っていた。「負けるべくして負けた」という吉田の言葉がピタリとはまるゲームだった。

 日本がアジア最上位というFIFAランクに踊らされてはいけない。決して、日本は強くない。ある意味、オマーン戦はその事実を初戦黒星という強烈なインパクトとともに示してくれた試合とも言えるだろう。

 実際、試合運びはオマーンのほうが上だった。日本に流れが傾きそうな時間帯も焦らず、粘り強く対応。攻撃の局面ではサイド攻撃を有効活用し、揺さぶりをかけた。守備面では大迫に起点を作らせないよう、中央部をがっちりと固めて決定機を作らせなかった。

 端的に言えば、日本は監督を含めた総合力で力負けした。
 

 オマーンの堂々たる戦いぶりを見て、蘇ってきたのが本田圭佑の言葉だ。

 2016年10月6日に行なわれたロシアW杯アジア最終予選のイラク戦、山口蛍の劇的な決勝弾で日本が2-1と勝利したあとのミックスゾーン、本田は少し昂った声でこう言った。
 
「本当はこっちが向こうをバカにしたいんです。あんまりそういうところは戦術的には求められていない。そういうところは僕やヤットさん(遠藤保仁)の真骨頂なところでね。僕もその辺のスピーディーさが欠けるとか、いろんな意見があるんでしょうけど、アジアレベルで言えば徹底的に相手をバカにするプレーは得意としている。

でも、それは(ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表では)今求められていない。怖い攻撃をもっと増やしていこうというところが今の代表のテーマなので、それはそれで前向きにチャレンジしたいという気持ちで臨んでいる。自分になかったところなのでね。別に否定的ではないですよ。でも、本来はイラクみたいな国が僕たちを必要以上にリスペクトしていないのは腹立たしい。本当は向こうがうざいと思うくらい回さないといけない」

 この中で印象的だったのが「僕たちを必要以上にリスペクトしていないのは腹立たしい」という件だ。この傾向は前回の最終予選もより今回のほうが強まるのではないか。これがオマーン戦の敗戦を受け、脳裏に浮かんだことだった。
 

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