新進気鋭の監督が進めるチーム作りが画期的。埼玉県リーグで戦う文教大の活動が濃密だ

2021年08月30日 サッカーダイジェスト編集部

「頭を使ってサッカーをすることが多くなった」

埼玉県リーグで戦う文教大サッカー部。「学生主体」のチーム作りを進めている。

 友だちの結婚式に参列し、仲が良かった旧友に久しぶりに再会したら、学生時代には想像もできなかったほど立派な社会人になっていて驚く。新進気鋭の監督が描いている育成の未来予想図を表現するなら、そんなところだろうか。

 埼玉県リーグ1部の文教大サッカー部を指揮する藤原良浩監督が、画期的なチーム作りを進めている。

「自分たちが決めたことが、そのままチームの力になる」

 文教大でプレーする久保田大貴は明るい表情で語る。浦和東でプレーした高校時代とは、また違った充実感があるようだ。

「学生主体なので、チームに貢献できている実感がすごく湧く」

 久保田の言う「学生主体」とは、2020年に就任した藤原監督が採用するチーム体制を指す。指導者がサッカーを教えるのではなく、練習メニューの作成からスタメン選出、選手交代まで、普通なら監督が担う仕事もすべて学生に任せられている。
 
 つまり大学生ながら、考える"量"が他の学生とはまるで違う。主将の芦澤一生は言う。

「今までは監督の指示に忠実に従うだけでした。でも、頭を使ってサッカーをすることが多くなったので、プレーヤーとしてやりがいを感じています」

 サッカー部を運営するための役割は分担されており、チーム方針の決定機関である「幹部チーム」、練習メニューを決める「練習メニューチーム」、フィジカルトレーニングのメニューを管理する「フィジカルチーム」、サッカー用具を管理する「ホペイロチーム」、チーム登録や大会参加の申し込みをする「主務チーム」、広報活動をする「SNSチーム」など15チームほどにわたる。

 その人事配置を決めるのが藤原監督の仕事だ。選手個々の特性を理解したうえで、それぞれに適した役割を与える。各組織は立ち上げ当初に掲げた各々の「チーム理念」に基づいて仕事し、その「理念」から逸れていないか藤原監督が分析。月に一度、チームリーダーと進捗状況を確認し、機能していなければチームが良い方向に進むようメンバーを修正するケースもあるという。

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