【バイタルエリアの仕事人】Vol.8 仙頭啓矢|オンリーワンな選手になりたい!「敵だけど勉強になる」というJの名手は?

2021年08月31日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「こうしろ」と教えられたというよりは、自分でいろいろ考えてサッカーを楽しんできた

攻撃センスあふれるプレーを見せる仙頭。創造性やアイデアを駆使しながら、楽しみながらサッカーをしてきたという。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第8回は、今季好調のサガン鳥栖を牽引する仙頭啓矢だ。前編では、"新境地"となるボランチへの挑戦とバイタルエリアを攻略する楽しさやこれからの課題について語ってくれたが、後編ではさらにその思考や流儀を深く掘り下げていく。

 少年時代から自身の創造性やアイデアを尊重してくれる指導を受けてきたという仙頭。その攻撃センス溢れるプレーは、いかにして研ぎ澄まされてきたのか。そこには「バイタルエリア」に対する意識も大きく関わっていたようだ。

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「バイタルエリア」という言葉や概念については、もう小学校の時から教わったというか、自然と認識していたところはありますね。自分もその重要性というのは、いろんな指導者の方から教えを受ける中で意識してきましたし、そこに対してのサッカーの面白味を感じてきました。

 攻撃の選手だったら、まずはバイタルエリアでどんな仕事ができるか、もちろんゴール前でシュートを決めるのもそうですが、相手が密集しているライン間、いわゆるハーフスペースでは360度の視野が必要ですし、そのなかでどんな仕事ができるのかが選手のクオリティ。そこで活躍できてこそ価値がある選手だと思うし、そういう意味では小さい時から自分自身こだわってというか、意識してきたエリアです。

 自分は1.5列目とかトップ下のポジションをずっとやってきていたので、指導者の方にもバイタルエリアで何ができるかが、今後上のカテゴリーで自分の価値を上げるために重要だと言われていました。

 そこで相手の守備を崩すためのスルーパスだったり、ミドルシュートだったり、あるいはループでパスを出したり。自分のアイデアや感覚的なプレーが身に付いたと思います。ただ、僕は本当に指導者に恵まれてきたと思っていて、どの指導者の方からもいろいろ学びましたが、基本はどの人も自由にやらせてくれた。僕の創造性やアイデアを尊重してくれて、「こうしろ」と教えられたというよりは、自分でいろいろ考えてサッカーを楽しんできた印象です。

 相手を翻弄したり、裏をかいたりするのが好きで、そういう感覚でプレーをして、サッカーが楽しめたからこそ、いろいろ身についた部分もあるのかなと思います。

 めちゃめちゃフィジカルでがっつり削ってくるような相手でも、フェイントでいなしたり股を抜いてパスを出したりというのは楽しいし、フィジカルでは勝てなくてもそういう技術で勝てるというのがサッカーの面白いところ。自分もそこまで身体は大きくなくて、足も速くなかったし、技術やアイデアという部分で勝負してきたので、そこはひとつのサッカーの魅力だなと思いながらプレーしてきました。楽しむというのはすごく大事だなと思います。
 

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