【バイタルエリアの仕事人】Vol.8 仙頭啓矢|好調鳥栖を牽引! 生粋のアタッカーがボランチ転向で見えた景色

2021年08月30日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

良い立ち位置を取りながら、組織として戦っていくサッカーは自分にも合っている

今季鳥栖に加入し、チームの好調を支える仙頭。攻撃の起点として存在感を発揮している。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 サッカーにおける攻守の重要局面となる「バイタルエリア」。ゴールや失点にダイレクトに関係してくる、"勝負の肝"となるスペースをいかに攻略するか、いかに死守するかは、多くのチームにとって不偏のテーマだろう。そんな「バイタルエリア」で眩い輝きを放つ選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第8回は、今季開幕前にサガン鳥栖に新天地を求めた仙頭啓矢だ。高校サッカーファンなら、京都橘高のエースとして知る人も多いだろう。

 その仙頭が加入した鳥栖が好調だ。昨シーズンの勝ち星(7勝)に5つの勝利をすでに上積みし、ゴール数も昨季の37得点に迫る35得点。ACL出場圏内の3位を窺う好位置につけて健闘を見せている。仙頭は全26試合に出場し、24試合に先発。チームの好調を支えるひとりだ。

 しかし、生粋のアタッカーだった彼は今季、ポジションをやや下げてボランチを定位置として戦っている。これまでゴールに関わるプレーを主な仕事としてきた仙頭はどんなイメージを持ってシーズンを戦っているのだろうか。

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 今シーズンは攻守両面でやるべきことがチームに浸透していますね。とくに攻撃面では、チャンスを数多く作って確実にゴールまで運んでいくという作業の中で、後ろからしっかりビルドアップして最後に決める選手、特にFWがよりゴールに近い位置へ入ることだったり、ゴールが取れる確率の高いシチュエーションだったりを多く作り出せている。それが(昨年より)得点が増えている要因なのかなと思います。

 今季加入する前から鳥栖のサッカーはけっこう見ていました。実際にオファーいただいてからは、自分がこのチームで何ができるのかを考えながら過ごして、その中で自分に求められていることも認識していたので、キャンプの時からすんなり入れましたね。

 サガン鳥栖は戦術がしっかりしている印象で、自分たちがボールを握るというところからスタートして、攻守において自分たちからアクションを起こすサッカーを展開しているイメージを持っていました。「ポジショナルプレー」などと言われますが、やはり自分たちが良い立ち位置を取りながら、組織として戦っていくサッカーですね。

 僕自身、個人的に身体能力がすごく高かったり、足が速かったりするわけではないので、相手より早く良いポジションをとって、その優位性を意識しているので、そういう面では自分にも合っているサッカーだなと思います。
 

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