【アジア最終予選ポイント展望】東京五輪で吉田麻也の相棒も務めた守備のユーティリティがキーマンに?

2021年08月25日 清水英斗

最終予選の攻守のキーマンは?――攻撃ではカウンターを狙う場面で浅野拓磨が重宝するか

清水氏が日本代表のアジア最終予選でのキーマンに挙げる板倉(左)と浅野(右)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 いよいよ始まるカタール・ワールドカップのアジア最終予選。B組に入った日本は、オーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと戦う。熾烈な戦いを森保ジャパンは勝ち抜くことができるか。予選突破への攻守のキーマン、注目すべきカードについて、サッカーライターの清水英斗氏に訊いた。

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 突破のキーマンは、攻撃では浅野拓磨を挙げる。

 今回の最終予選は中国とオーストラリアが新型コロナウィルス防疫措置のため、自国開催を中止し、第三国(おそらく中東)でホーム戦を行うことが有力視されている。サウジアラビアとベトナムは自国開催の予定だが、観客数は制限される可能性が高い。つまり、過去の予選ほどアウェーの圧迫感は無いかもしれない。

 ただ、それでも、最終予選である。2次予選とはレベルも緊迫感も段違いなので、ボールを持たれたり押し込まれたりと、日本のリズムで試合を運べない苦境は、充分に予想できる。

 森保監督はそうした強敵とリスクを負って打ち合うタイプではない。勢いを受け止めて我慢するタイプなので、浅野のようなスピードスターは、カウンター場面で重宝しそうだ。前回の最終予選でも、浅野は突破を決めたホームのオーストラリア戦で先制ゴールを挙げているが、現在はセルビアでの経験を経て、さらに得点力を上積みした。ゴール前へ入って行くパワーは桁違いだ。今回の浅野は特に期待できる。

 守備のキーマンは吉田麻也、と言いたいところだが、もはや彼はキーマンのレベルではない。前提だ。一方、少し不安があるのは冨安健洋のほう。怪我のリスクと、移籍動向次第では、コンディション苦で最終予選をフルに戦えないかもしれない。累積警告も考慮すれば、不動のセンターバックコンビが欠ける状況はあり得る。

 代わりの候補は植田直通、谷口彰悟や中谷進之介もいるが、東京五輪で吉田の相棒を務めた経験から、板倉滉にアドバンテージがありそう。板倉はセットプレーも強いので、センターバック以外にも、終盤の守備固めでMFに投入することもできる。勝点を挙げる上で、板倉は最終予選のキーマンになるのではないか。
 

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