遠藤航を育てたクラブ哲学――10代の戦力が次々に出てくる湘南ベルマーレの「育成戦略」とは?

2021年08月11日 竹中玲央奈

「湘南は試合で使ってくれるイメージがある」

湘南が輩出したクラブ生え抜きの選手たち。左から田中聡、遠藤航、齊藤未月。写真:サッカーダイジェスト

 多くのクラブがそれぞれの色や魅力を持っているが、こと湘南ベルマーレに関しては「若手の育成」が挙げられる。もちろん、東京ヴェルディやガンバ大阪ら育成の実績と伝統があるクラブにはまだ及ばない部分もある。ただし、この10年以内で「若手育成」の色が強くなっているのは実績面でも現われている。
 
 このほど閉幕した東京五輪では、湘南U-18出身の遠藤航がオーバーエイジとして日本の中盤の底を支えた。決勝トーナメントでも好セーブを連発した谷晃生の出身はG大阪のアカデミーだが、リーグ戦デビューを果たしたのは湘南だ。しかもそれは昨年のことである。このチームでの活躍がなければ五輪代表に選ばれることもなかっただろう。

 某有力大学の学生選手と会話をした時に「湘南は試合で使ってくれるイメージがある」と話していたのも印象的だ。新卒獲得においても、こういったイメージを選手が持ってくれているのはプラスである。

「クラブとして、若いから出すとかではなく、良いと思ったときには、恐れずに若手を積極的に使っていこう、と。そういう決まりというか文化は根付いています。それは、クラブが会長・社長を中心に、トップとアカデミーが一体となって取り組んでいる大きな成果かなと。湘南に行ったら成長できるというのは、サッカー界全体の若い選手にはイメージとしてついていますよね」

 こう語るのは現役引退後の2007年から湘南に入閣し、トップチームのスカウトを経て現在は育成統括部長を務める小原光城氏だ。

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