『仮想メキシコ』ホンジュラス戦で見えた2つの課題。苦手な“ハイプレス対応”、解決の糸口は前田大然に?

2021年07月13日 清水英斗

【識者コラム】ホンジュラス戦にはメキシコ戦で参考になりそうな類似点が多くあった

ホンジュラス戦では、果敢に背後のスペースを狙った前田。彼のスピードが絶好のオプションとなりそうだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 東京オリンピック直前の7月12日に行なわれた国際親善試合で、オリンピック日本代表は同ホンジュラス代表に3-1で勝利を収めた。

 この試合のキャッチコピー『仮想メキシコ』が、ホンジュラスに当てはまるのかどうかは微妙だが、一定の丸の中には入っている、といったところか。メキシコはよりDFのビルドアップ能力やボール運びの可変性に長け、一方のホンジュラスは相対的に、フィジカルや縦の速さに長所が見られる。当然ながら違いはあった。

 とはいえ、両サイドバックを高い位置へ上げ、両サイドハーフを絞らせて中に厚みを作る攻撃の指向、あるいは後半直後にハイプレスで押し込んできたアグレッシブな守備には、メキシコ戦で参考になりそうな類似点が多かった。

 フットボールの海は広い。日本と韓国のサッカーが「全然違う」と主張するのは、実は日本と韓国のサッカーファンだけで、欧州やアフリカ、南北アメリカなど異なる大陸から見れば、しっかり同じグループに属していたりする。メキシコとホンジュラスは普段からW杯予選などでしのぎを削るライバルでもあるので、文化的にもサッカー的にも影響を受ける部分はあるだろう。
 
 この試合でホンジュラスが突きつけてきた課題、中に厚みを作る攻撃への守備対応と、後半直後のハイプレスをどうさばくか。これらはメキシコ対策としても成立し、クリアするべき課題だった。

 前者に対しては、日本の守備型[4-4-2]をどう連動させるかがポイントになる。ホンジュラスの2列目の3人は、[4-4-2]の隙間、ライン間でボールを受けようとした。日本はダブルボランチを孤立させると数的不利に陥るため、堂安律と三好康児の両サイドハーフが絞り、4人が鎖になって守備をする意識が高かった。

 そうやって堂安と三好が中を警戒して絞る一方、大外を上がってくるSBには、酒井宏樹や中山雄太が張り出して対応する。[4-4-2]は平均的な立ち位置を取るシステムなので、それをどう動かし、対応するか。その点、日本はしっかりと整理された印象があった。序盤こそ少し、チャレンジ&カバーが曖昧になる場面も見えたが、徐々に安定感を増したと思う。

 一方、仮にそうした連動で対応できない、ということになれば、このチームは3バックに慣れた選手が多いので、システム変更もベンチワークの有力な手段になる。ただし、この試合ではそこまでの必要がなかった。もっとも、戦術的には整理できても、体力的な問題として、この暑さで中盤の運動量を維持できるかは怪しい。その意味では相馬勇紀や板倉滉など、交代出場の選手も重要になりそうだ。

【五輪代表PHOTO】U24日本3-1U24ホンジュラス|吉田、堂安の2得点でホンジュラスを相手に3-1の勝利!

【五輪代表PHOTO】ヨドコウ桜スタジアムに駆けつけた日本代表サポーターを特集!

次ページ日本は“押し込まれると弱い”。困難な課題はハイプレスへの対応

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事