金メダル狙うU-24日本代表の予想スタメン、鍵を握る重要人物は? プロ分析官が五輪男子サッカーを展望!

2021年07月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

完敗した6月のA代表戦が転換点となった

東京五輪に臨むU-24日本代表。過去最強と言われる3人のオーバーエイジ選手を加え、金メダル獲りに挑む。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表が12日のホンジュラス戦、17日のスペイン戦を経て、東京オリンピック本番を迎える。

 ここでは、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2019年には横浜F・マリノスで自チームや対戦相手を分析するアナリストとしてリーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に、6月シリーズを経たU-24日本代表の現況について分析していただいた。金メダルを目標に掲げるチームの注目ポイントとは――。

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 いよいよ東京オリンピックが近づいてきました。自国開催の大会でU-24日本代表がどこまでいけるのか、大変楽しみですが、まずは6月シリーズの戦いぶりを振り返ってみましょう。

 6月シリーズにおいてU-24代表は、日本のA代表とU-24ガーナ代表、そしてジャマイカのA代表と対戦しました。3試合を戦ったなかで、非常に意義深い試合になったのが、日本のA代表との試合だったと考えます。

 もし仮にA代表が当初の予定通りにジャマイカのA代表と対戦することになっていたら、U-24は現状のレベルに到達していたかは微妙なところです。この試合を経験したことで、チームとしてのレベルが上がったように思います。

 具体的なところで言えば、やはりデュエルの部分でしょう。3月のアルゼンチン戦では初戦で敗れたものの2戦目は3対0で快勝し、ある程度世界に通用していたという自信もあったなかで、A代表にはデュエルで全く勝てなかった。ここで、チーム内の基準がひとつ上がったのは間違いありません。

 そして、ガーナ戦では最初の数分間でオーバーエイジの選手たちが、その振る舞いも含めて「デュエルとはこうなんだ」という模範を示した。ボールにアプローチを掛けるけれども、単にコースを限定するだけという守備ではなく、しっかりとボールを取り切る。デュエル+強度という点において、身体の当て方、タックルの深さという面でも海外基準というべきものを見せて、周囲もそこに良い反応を見せていました。

 やはり1対1の強度、パワーといったものは、映像だけでは伝えきれません。ボールホルダーにアプローチに行く選手だけでなく周辺の選手のプレスバックするスピードや、ボールに対する執着がまだまだ足りないという気づきを得られたのがA代表戦だったのではないでしょうか。

 ガーナ戦やジャマイカ戦で大勝したのは結果論で、内容面ではA代表戦で得られたことがその2試合でしっかりと出ていました。とくにOAの3選手が守備の選手で、デュエルの基準をしっかりと示してくれたのは良かったと思います。

 おそらく、他の選手たちにもそれがポジティブに働いているのではないでしょうか。確かにA代表戦は完敗に近い内容でしたが、数字的にはポゼッション率で53.1%と上回っている。シンプルにボールを持つということに関してはできていたんです。そこは自信になっているはずで、それでも点を取れなかったという部分でA代表のしたたかさ、球際での強さというところが差として出たと感じます。
 したがって、U-24にとっては、できている部分とできていない部分がハッキリと現われたという意味で、レベルアップへの転換点となりました。ガーナ戦ではボール支配率61.6%で相手のシュートを1本に抑え、ジャマイカのA代表を相手には同50.2%とほぼ互角でしたが、シュート数では17対0と完勝の内容でした。

 この6月の3試合でU-24は大きな手応えを掴んだはずですし、ここからさらに7月の2試合でブラッシュアップして本番に臨む態勢を整えていくことになるでしょう。
 

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