史上最強のオーバーエイジトリオは、U-24世代にとってプラスとなるのか? 過去のOAと五輪世代の関係性

2021年07月09日 元川悦子

過去の五輪でオーバーエイジを採用したのは4大会。うちグループリーグを突破したのは…

東京五輪にオーバーエイジとして臨む酒井(左)、吉田(中央)、遠藤(右)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 1年延期となった東京五輪の開幕が2週間後に迫ってきた。森保一監督率いるU-24日本代表は5月から静岡県内で直前合宿をスタートさせ、12日にはホンジュラス、17日には優勝候補の一角にも上げられるスペインとテストマッチを行なう。

「金メダルという目標を達成するためのチャレンジ精神をもって、一戦一戦、大きな結果を残せるようにしたい」と指揮官も気合を入れている。

 今回のチームの最大のポイントは吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(浦和)、遠藤航(シュツットガルト)というA代表の主力3人をオーバーエージ(OA)枠に抜擢し、6月から合流させたこと。「すでに2試合(ガーナ戦とジャマイカ戦)こなせていることは僕たちにとってすごくポジティブ」と遠藤も強調している。早い段階から融合を図ったのは、過去の経験を踏まえてのことだろう。
 
 改めて振り返ってみると、96年アトランタ大会以降、日本が過去の五輪でOA枠を採用したのは、2000年シドニー、2004年アテネ、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロの4回。このうち、1次リーグ突破という好結果が出たのは、シドニーとロンドンだ。

 シドニーの時はフィリップ・トルシエ監督が森保ジャパン同様、A代表とU-23を一元管理していたため、五輪に参戦したのは「A代表のラージグループ」という位置づけだった。楢崎正剛(名古屋CSF)、森岡隆三(清水アカデミーヘッドオブコーチング)、三浦淳寛(神戸監督)のOA枠3人もU-23世代と何度も活動していて、違和感なく本番を戦えた。

 ロンドンは準備期間こそ多くなかったものの、吉田と徳永悠平という2人の五輪経験者を最大限、有効活用した。吉田はロンドン世代の1つ年上で、早生まれの永井謙佑(FC東京)らとは同級生。年齢も近かったからスムーズに溶け込めた。徳永は少し年長だったが、守備のユーティリティ型として貢献できる人材だった。元々はもう1人、GKの林彰洋(FC東京)も抜擢されていたが、当時所属の清水エスパルスが権田修一(清水)の控えという位置づけに難色を示したため、本大会直前に帰国することになった。しかし、林自身は持ち前の献身性を発揮。チーム作りの段階で若手を支えていた。彼らの人間性やポジションバランスを見極めた関塚隆監督(解説者)の眼力が奏功したというわけだ。

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