“リアル”南葛SCが挑む「サッカーと仕事」第1回——岩本義弘GMが目指す就業支援の最適解

2021年06月28日 伊藤 亮

南葛SCが選手の就業支援を強化する理由

南葛SCトップチームを統括する岩本GM。選手の就業支援にも尽力する。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 社会人でサッカーをやる上で「サッカーと仕事」は切っても切り離せない宿命ともいえる課題だ。選手にとってはどちらもおろそかにできないぶん、時間配分やバランス調整など、悩みも尽きない。

 クラブとしてはいったいどのようなサポートができるのか。

 Jリーグという高みを目指す南葛SCでは、これまで蓄積されてきた様々な経験をもとにサポート体制を築いてきた。そしてこの先のビジョンも。

 岩本義弘GMが語る選手のリアル。サッカーとは別の苦悩、そして知られざる奮闘ぶりが見えてくる。

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 社会人サッカークラブには、どこにも共通した事実がある。それは、「仕事をしながらサッカーをしている」ということだ。元Jリーガーなど、有名選手を多くそろえている南葛SCとて例外ではない。

「サッカー一本で生活している選手はゼロです」

 そう教えてくれたのは南葛SCの岩本義弘GMだ。プロ契約を結んでいる選手はいるものの、どの選手も生活のために、家族を養うために、それぞれの事情、理由からサッカー以外の仕事を抱えている。

「徐々に就業支援を強化していって、現在チームのほぼ全員の選手が仕事をしています。自分で探して見つけた企業で働いているケースももちろんありますが、クラブが紹介した企業で働いているケースの方が多いです」

 選手たちの就業支援。社会人クラブチームにとって、グランド外のことではあるとはいえ、またプライベートの領域に関わることとはいえ、決して軽視できない重要な要素である。

「自分がGMになる前は、仕事が理由で練習に来られない選手も多く、練習も人数がそろわないということもありました。となると、監督やコーチにとってもチーム作りをする上で障害が出てしまう。なので、選手たちがきちんと練習に来られる企業を、クラブ側で探して紹介しようということになりました」
 

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