「迷走している」サウスゲイト監督の選手起用に代表OBやファンが不満。イングランド代表の不安要素とは【現地発】

2021年06月29日 スティーブ・マッケンジー

「ケインにこだわり続ける必要はない」

批判の的にされているケイン(左)とサウスゲイト監督。 (C)Getty Images

 6月22日に行なわれたEURO2020のグループステージ最終節、イングランド対チェコの試合を見るために、私は地元のパブに足を運んだ。コロナ禍とはいえ、とても静かだったので驚いた。これまでイングランド代表が試合をしている時には、パブに入ろうとするのさえ大変なのが常だった。

 チェコ戦を前にイングランドが決勝トーナメント進出を決めていたこと、火曜日の夜の試合で、多くのファンが翌日に仕事や学校を控えていたこともあっただろう。

 だが、最大の原因は、イングランド代表のパフォーマンスだ。地元開催でベスト4に進んだ1996年大会のように、国中が興奮に包まれる気配が感じられないのもそれが理由だろう。

 グループステージを2勝1分で通過したのは、上々の結果だ。だが、多くのファンは、パフォーマンスに対して「興奮しない」と不満を抱いている。批判の矛先は、ガレス・サウスゲイト監督だ。
 
 不満は起用法にある。大会前に活躍が期待されていたジェイドン・サンチョとジャック・グリーリッシュは、ファンが望むほどのプレー時間を与えられていない。グループステージは彼らの起用で、もっとエキサイティングになったはずだ。

 現地では監督に加え、ここまでノーゴールの主将ハリー・ケインにも厳しい声が飛んでいる。グループステージを終えて、元イングランド代表のアラン・スミスは「ケインに常に得点させる必要はないだろう」と起用法を批判した。

「ふがいないスコットランド戦に比べれば、チェコ戦の前半45分はよかったし、初先発のブカヨ・サカが素晴らしく、グリーリッシュも印象的なプレーをした。彼らを先発で使わないわけにはいかないと思わせる出来だった。サウスゲイト監督に多くの選択肢があることは理解しているが、無理にケインを使い続ける必要はない」

 また、同じく代表OBのミカ・リチャーズも「サカは素晴らしいパフォーマンスだった。今日の彼のプレーを見れば、先発で使わない選択肢はないはずだ。非常に多彩で、恐れを知らない。19歳なのに非常に落ち着いてプレーしている」と大絶賛し、「もっとプレーさせるべきだ」と発言している。

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