「本当に難しい仕事です」欧州クラブで働く日本人スカウトの実情に迫る――【STVVの野望】

2021年06月30日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「すべての選手が覚悟を持って推薦したタレント」

長島氏は大学卒業後にオランダで指導者の勉強に励み、STVV入団のチャンスを掴んだという異色のキャリアの持ち主。(C)STVV

 17年に『DMMグループ』が経営権を取得し、現在では5人の日本人選手と多くの日本人スタッフが在籍するベルギーのシント=トロイデン(STVV)。

 そこで働く人たちから話を聞き、欧州サッカークラブの"リアル"に迫るのが『ワールドサッカーダイジェスト』誌で好評連載中の「STVVの野望」だ。第6回目は、2019年に強化部に配属され、現在はスカウトを担当する長島大氏に選手のリサーチ方法や、仕事のルーティーンなどを語ってもらった。

――STVVのスカウトの人数は?

「ベルギー人スカウトが国内と日本にひとりずつ。私も含めると専属は3人です。ただ、世界中に情報提供者がいて、随時連絡が来るようになっています」

――主な一日の業務を教えてください。

「まずはベルギーとオランダのメディアで最新の移籍動向を確認します。その後クラブハウスに向かい、10時から12時頃まではトレーニングの視察。そして、午後から本格的なスカウティング業務に入ります。基本的には映像のチェックがメインです。コロナ禍以前は、18時頃にビデオチェックを切り上げて、国内や隣国のオランダで行なわれるナイトゲームの視察に行くのがルーティーンでした。そのほか、コーチングスタッフや幹部と、チーム編成やトレーニングについてのディスカッションをしたり、ユースの仕事にも携わっています。時間が空けば、代理人や他クラブのスカウトと情報交換をしていますね」
――他クラブのスカウトとも交流があるんですね。ライバル関係とかはないんですか?

「もちろん情報交換をするクラブは選んでいますよ。自分たちと同じ規模のクラブだと補強ターゲットが被ったりもするので。ただ、スカウトのやり方に関するノウハウは、そういったことも意識せずに、いろんなクラブの担当者から良い部分を吸収しています」

――どのような方法で選手のリサーチをしていますか?

「スカウティングツールを使っての動画チェックが主です。平均すると一日10~20人の売り込みが来るので、その選手たちのハイライト映像を確認し、チームが求める必須項目を満たしているかをチェックしていきます。そこで抽出した選手に関しては、最低3試合フルタイムの動画を見てレポートを作成し、欲しい人材かどうかを判断しています」
 

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