次の段階へ進みつつあるA代表に比べ、U-24代表は幼い…。6月シリーズで見えた両者の埋め切れない差とは?

2021年06月16日 清水英斗

「やっぱりA代表は強かった」

A代表、U-24代表合わせて計7試合を行なった6月シリーズで見えたものとは。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 A代表、U-24代表を合わせて7試合を行なった6月シリーズ。最大の発見と言えるのは、「やっぱりA代表は強かった」という事実ではないだろうか。

 当然ながら選手の質が違うし、チームの完成度も違う。3月に行なわれたワールドカップ2次予選・モンゴル戦では、A代表は途中から4-3-3のシステムに変え、鎌田大地と南野拓実を2シャドー(インサイドハーフ)に並べる布陣を試した。その意図を当時、森保一監督は「新たなオプション」と説明していたが、おそらくそれは、「この試合は4-2-3-1で行く」「後半は4-3-3で行く」といった単純なシステム変更を意味するわけではない。

 この6月の数試合、A代表の主力が出場したミャンマー戦、U-24代表戦、セルビア戦などを見ると、鎌田と南野は、近いポジションで連動のスピードを上げ、ワンタッチで崩す連係プレーが光った。日本のシステムは4-2-3-1だが、南野が中へ入り、ほぼ鎌田と並ぶようになって、動的に4-3-3に近い配置を作りながら、コンビネーションを加速させた。あるいは、ダブルボランチから守田英正がライン間へ潜って鎌田と同じラインに並び、一瞬、そのまま4-3-3に見える形もあった。
 
「オプション」の意味は、静的から、動的へ発展する。

 最初は監督から形を指示され、その通りに並んでプレーした。しかし、次の活動機会では、そのアイデアを発展させていく。システムは4-2-3-1を使うとか、使わないとか、それはもはや大した問題ではなく、試合中に立ち位置をずらし、動的に、より柔軟に、その形を使っていく。それが「オプション」の真意だろう。監督が指示するシステム変更ではなく、ピッチ内の連係、連動で、試合の問題を素早く解決する。A代表は昨年秋の欧州遠征以来、サッカーが次の段階へ進みつつある。
 

次ページサブ組の連係不足が今後の大きな課題に

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