個々のアピールが見られたタジキ戦。1失点も、水際で落ち着きを維持した後ろの頑張りは好印象

2021年06月09日 河治良幸

ベストメンバーに比べて物足りなかったのは事実

攻撃の迫力や守備の強度が今ひとつだったが、代表初得点の川辺(21番)など個々のアピールも見られた試合でもあった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 3月のモンゴル戦、5月のミャンマー戦と記録的な大差で勝利したことで、観る側の感覚も少しおかしくなってしまったかもしれないが、タジキスタンは攻守の強度が大勝した2か国よりはるかに高く、組織としても個人としても簡単な相手ではなかった。

「前半から相手のプレッシャーも他の試合と比べたら良かったですし、少し難しい試合だった」

 ベンチから観ることとなった伊東純也もそう振り返る。それにしても吉田麻也、冨安健洋、酒井宏樹、遠藤航などA代表の主力がU-24代表に移り、さらに森保一監督の宣言通り、U-24との試合から大幅に入れ替わったなかで、連係面は仕方がないにしても攻撃の迫力や守備の強度など、多くの部分でベストメンバーに比べて物足りなさがあったことも事実だ。

 右サイドハーフで、鋭いプレーで1得点・1アシストを記録した古橋亨梧や、右サイドバックで先発し、橋本拳人による3点目をクロスでアシストしただけでなく、1点目と2点目の起点になった山根視来、ボランチで前半こそ慎重なプレーが目に付いたものの、徐々に存在感を見せて相手のミスから自身の代表初ゴールなる4点目を記録した川辺駿など、個々のアピールが見られた試合でもあった。

 浅野拓磨の1トップということで、大迫勇也とは違う裏を狙う形で縦パスを引き出そうとした。古橋による先制点は山根からの縦パスを浅野が裏で受けて、左足で狙ったシュートがGKヤティモフに弾かれ、リバウンドを流し込む形だった。ただ、全体として縦に攻め急ぐ度合いが強くなり、ボールを失うタイミングが早くなったことで相手の攻撃を受けて、守備のエリアが深くなる要因になっていた。
 
 それに加えて浅野、古橋、南野拓実、原口元気による前4枚のプレスにボランチやサイドバックがうまく連動できず、デュエルでも潰しきれないことで、前目に起点を作られたところから中谷進之介と昌子源の2センターバックとサイドバックの山根と左の佐々木翔、ボランチの二枚も下がって跳ね返すシーンが続いた。

 先制点からわずか3分後の失点は、先制点を決めた古橋の不用意なボールロストがきっかけにはなったが、一度跳ね返したセカンドの対応が甘くなり、余裕を持ったクロスを、ボランチから攻撃参加したパンシャンベに合わされてしまった。

 最後にファーで競り負ける形になった山根の対応も1つ問題だが、その前に日本が主導権を握っていない段階に相手の隙を突く形で先制してから、落ち着いてポゼッションするなりゲームコントロールできていれば、1-0で進行しながら追加点を狙う流れに持っていけただろう。

【PHOTO】日本 4-1 タジキスタン|南野7戦連発弾!橋本・川辺の代表初ゴールなどもありアジア2次予選7連勝!

【PHOTO】ともに国際Aマッチ初ゴール!橋本拳人&川辺駿を特集!
 

次ページ後半の良い流れにつながる南野のゴール

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