【識者が選ぶリーグ・アンのベスト11】王者陥落のパリSGからは3人のみ。ネイマールを選外にしたのは…

2021年05月27日 結城麻里

GKは甲乙つけがたいが…

結城氏が選んだリーグ・アンのベスト11。赤字がMVP。

 今シーズンのリーグ・アンのベストイレブンをめぐっては、いつになく議論が巻き起こっている。権威ある選手組合UNFP(全国プロフットボーラー連合)が発表した恒例のイレブンに、10年ぶりのリーグ制覇を果たしたリールから2人しか選出されなかったからだ。
 
 これは、優勝が決まった最終節を待たずに投票を行なわざるを得なかったためだろう。票を入れた選手たちの多くが、最後はパリSGの優勝で終わるとみていた可能性は小さくない。歴史的デッドヒートとなったシーズン故の、致し方ない"アクシデント"だった。

 とくにGKマイク・メニャンがUNFPの11人から外れたのは物議を醸し、リールのクリストフ・ガルティエ監督が「投票者は(ケイラー・)ナバスのチャンピオンズ・リーグ(CL)での活躍に影響されたのだろう」とコメントしたほどだ。

 たしかに、パリSGのナバスが、リーグ・アンではCLほど鬼気迫るプレーを見せられなかったの対し、メニャンはクリーンシート21回を誇った。ただ、後者はチームのコレクティブな堅守に助けられた面もあり、甲乙つけがたいが、8敗しても崩れなかったパリの守護神に軍配を上げたい。

【動画】リールを優勝に導いた主砲ブラクの衝撃ミドル弾はこちら
 CBはまずマルキーニョスの選出に異論はないだろう。世界屈指の守備力に加え、セットプレーからのヘッドはチームの武器になり、そのゴールで流れを変えた場面が何度もあった。非の打ちどころない主将は、相棒のプレスネル・キンペンベの成長を促した点も評価したい。

 もうひとりは、リールの主将ジョゼ・フォンテ。長身を利した気迫のヘッドでエアバトルの69パーセントを制し、経験に裏打ちされた統率力で、DFラインだけでなくチーム全体もまとめ上げた。

 パリSGの弱点になったSB部門では、RCランスの右SBジョナタン・クラウスがサプライズをもたらした。凄まじい運動量を活かして攻守両面で奮闘、プレースキックまでこなして、周囲を唸らせた。惜しくも欧州カップ戦出場を逃したとはいえ、昇格組の大躍進に大きく寄与した。
 

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