「相手を怖がらせる攻撃を」大阪ダービーで注目すべきガンバ宇佐美貴史の“剥がす力”

2021年04月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

鳥栖戦の決勝点の舞台裏。「けっこう慌ててはいた」

得点源、チャンスメーカー、組み立て役と複数のタスクを担う宇佐美。攻撃の最重要キーマンだ。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグを配信中のDAZNでは、2021年4月29日~5月16日を「RIVAL WEEKS」と題し、ダービーやライバル関係にあるチーム同士の一戦となる19試合を対象に、様々な企画を実施している。

 なかでも注目なのが、セレッソがガンバをホームに迎える大阪ダービーだ。サッカーダイジェストWebは、両チームのキーマンにインタビューを実施。ガンバでは、今季5試合目にして待望のシーズン初勝利を掴んだサガン鳥栖戦で、値千金の決勝点を挙げた宇佐美貴史に話を訊いた。10代の頃からライバルとの一戦の重要度を叩き込まれてきたアタッカーが、伝統の"大阪決戦"に懸ける想いや現在のチーム状況について語ってくれた。

―――◆―――◆―――

『DFはどっちから戻ってきてる? 左の後ろ側から回り込んできているか、左のCBも出てきたから、トラップでボールはここにしか置けない、ニア上を狙うか、いやアカン逆や、こっちの選択と朴一圭選手の対応はことごとく当たるから、遠いほうにしよう、朴選手は苦手だけど良いキーパーだし、早いテンポで打たないと』

 福田湧矢からのグラウンダーのパスを受けてシュートに至るまでのわずか数秒の間、宇佐美貴史はそんなふうに考えていたという。トラップした右足でそのまま一振り、逆サイドのネットを揺らした。映像を見返してみれば、実にスムーズかつ冷静なフィニッシュに見える。だが実際は「けっこう慌ててはいた」と明かす。
 
 その場の状況や過去のデータを照らし合わせて、即座に最適解を導き出す。「パッと一瞬で考えているから、ちょっとパニックになっている」。福田から良いパスが届いた、さてどうする――混乱しているが、混乱している暇はない、考えをすぐまとめて行動しなければならない。ゆえに「パニックになっていることを忘れている」のだという。

 その結果、件のファインゴールは生まれた。「どうしよう、どうしようという感じではあったんですけど、気づいたら、ちゃんとあそこに(決められた)。瞬時に判断して、選択できたのは良かった」と振り返った。
 

次ページ「こういう性格やからって認めてしまった部分もある」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事