“降格ほぼ当確”から奇跡の残留へ。岡崎と武藤の古巣マインツが立て直しに成功した理由は?【現地発】

2021年04月19日 中野吉之伴

第16節まで勝点はわずか「6」と低調

低迷するチームを立て直したスベンソン監督。トゥヘル時代のマインツでプレーした元デンマーク代表DFだ。(C)Getty Images

 ブンデスリーガのマインツは、現リバプール監督のユルゲン・クロップ、そして現チェルシー監督のトーマス・トゥヘルがプロ監督としてデビューを果たしたクラブだ。日本人選手では、かつて岡崎慎司や武藤嘉紀が所属していた。

 クロップとともに1部へ昇格し、トゥヘル時代には10-11シーズンに5位、岡崎がエースとして活躍した13-14シーズンは7位と健闘。そして、武藤が所属していた15-16シーズンにはマルティン・シュミット監督のもとリーグ6位で終え、ヨーロッパリーグ出場権を獲得するなど、ブンデスリーガにおいてそれなりのポジションを築いていた。

 ただそれ以降のは、毎シーズンぎりぎりの残留争いを続けている。今季も開幕から低迷し、2節終了時でアヒム・バイアーロルツァー監督が解任。新監督に就任したヤン=モーリッツ・リヒテも悪い流れを変えることができないまま、13節のブレーメン戦を0-1で落とした後に去ることとなった。この時点で、勝点わずか6の17位だった。

 まとまりのある試合運びができていなかっただけに、シャルケとともに降格はほぼ当確という見方がメディアの見解だった。だが、マインツはここで自分達の原点に戻る決意を固める。クラブの大事な基盤からテコ入れすることにしたのだ。
 
 まず、かつての躍進を支えていた元SDのクリスティアン・ハイデルが強化部長として復帰。ハイデルが右腕としてSDに迎え入れたのが、元監督のマルティン・シュミットだ。そしてふたりが「クラブを窮地から救える」と白羽の矢を立てたのが、トゥヘル時代にCBとしてチームの屋台骨を支えていたボー・スベンソンだった。強かった頃のマインツを知る3人が、それぞれ新しい立場で戻ってきたというわけだ。

 スベンソンはマインツU-19で監督を務めた後、オーストリア2部のリーファリングで指揮を執っていた。そのスベンソンについて、以前取材に応じてくれた、マインツのU-23でコーチを務めるジモン・ペッシュはこう語っていた。

「ボーは素晴らしい指導者だ。今の困難な状況でも解決策を見出していくはずだし、これまでよりもいいサッカーを展開してくれると信じている。順位表の状況がよくないのは誰が見てもわかる。でもたとえ2部へ降格ということになっても、ボーはしっかりと準備をし、すぐまた昇格を狙えるチームを作ってくれるはずだ」
 

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