7戦ぶり勝利の柏が巻き返す可能性。キーポイントは3つ

2021年04月12日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

ハッキリと速攻狙いだったG大阪戦は躍動感を取り戻した

決勝点を挙げた大谷に集まる柏の選手たち。G大阪戦ではチームに一体感があった。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ9節]柏 1-0 G大阪/4月11日/三協フロンテア柏スタジアム

 大スランプに陥っていた柏レイソルが復活の兆しを見せた。

 6戦未勝利の低調ぶりから一転、G大阪戦では気迫のこもったプレーを披露。守備時は5-4-1でブロックを固め、身体を張ってゴールを死守。ボールを奪えば複数人が飛び出す厚みのあるカウンター攻撃を仕掛け、何度もチャンスを作った。

 そして76分には大谷秀和が"魂の決勝点"を奪い、1-0で勝利。ゲーム内容に目を向けても、チームに闘争心と一体感が蘇ったのは間違いない。

 ただ、リーグ順位を見ればまだ16位。痛恨の躓きをしていただけに、この1勝で「完全復活」と言うのは時期早々だ。果たして柏は、G大阪戦の勝利をきっかけに巻き返せるのか。キーポイントは3つある。
 
 ひとつ目は戦術だ。

 カウンターの起点だったオルンガを引き抜かれた今季、序盤戦はポゼッションにトライ。しかし新たな戦い方がなかなか機能しないまま黒星が重なり、ミスも増える悪循環に陥っていた。そこで戦術の軸をカウンターへ徐々に戻し、ハッキリと速攻狙いだったG大阪戦は躍動感を取り戻している。

 筆者もチームが着手したポゼッションへのトライに賛成派だったが、見解を変えるべき状況になってきた。まずチャレンジできるようなリーグ順位ではなくなったし、慣れ親しんだ戦術で動きに迷いがなくなったのは大きい。また、オルンガがいない状況でカウンターを成立させる活路として、G大阪戦では複数人がサポートに入る分厚い攻撃をできていた。

 もっとも、カウンター一辺倒では限界があると昨季に痛感している。今後のポイントは戦術をどう使い分けるか。序盤戦の拙い遅攻を見る限り、自陣からパスをつないで敵陣に押し込み、相手を崩すのはもう厳しいので、ベースは速攻であるべきだ。ポゼッションを使うのは、素早いアタックで前進したあとの2次攻撃や、リードしている展開でゲームを落ち着かせる時のみに限るのが得策かもしれない。

次ページ複数挙げたポイントのなかで最も重要なのは…

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