プロ分析官が見たアルゼンチン戦。五輪当確は3選手! オーバーエイジを使うならSBとトップ下

2021年03月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

アルゼンチン戦2試合の勝因、敗因は…

杉崎氏がキーマンに押した三笘(左)と瀬古(右)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 東京五輪を戦うU-24日本代表は、南米予選を首位で通過したアルゼンチンと2試合を実施。26日に行なわれた初戦は0-1で敗れたが、3日後の対戦では3-0で快勝を飾り、リベンジを果たした。この2試合をプロの目利きはどう分析するのだろうか。

『サッカーダイジェストWeb』では、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、現在もプロのサッカーアナリストとして活躍する杉崎健氏に、今回のアルゼンチン戦を分析していただいた。同氏は、チームや対戦相手を分析するアナリストを務めていた横浜F・マリノスでは、2019年にクラブ15年ぶりのリーグ優勝にも貢献したアナリストの第一人者だ。

 この2試合をプロの目線から紐解き、東京五輪本番を予想してもらった。

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 初戦に関しては、彼らの世代的に世界と戦うというのが慣れていない選手もいたなかで、アルゼンチンの南米特有の球際に対する激しさ、自分の中での基準と違うスタイルでやってくる選手への適応が試合中にできなかった。球際や自分がボールを持っている時に寄せてくるスピード、足を出してくるタイミングなどで戸惑っていた部分もありました。

 日本では、ボールをチーム戦術で獲るというのが基本スタイルだと思います。南米ではまず個人でというスタンスだと思うので、その差が出た試合でした。特に1戦目では、その球際の強さが90分間続いていて、日本はボールを回せなかった。
 
 直接の敗因とは言えないですが、自分たちの基準から外れたことをやらなければいけないということで、そのためにゲームプランに狂いも生じた。失点シーンでは高さ、単なる高さだけであればJリーグでも経験していますが、それに強さ、激しさが加わったヘディングショットにやられました。

 アルゼンチンは個人のフィジカルが強く、日本はデュエルでことごとく劣勢に立たされました。失点も中盤でデュエルに負けてしまってからのカウンターがきっかけで、ひとつのデュエルで局面が変わってしまうシーンを数多く作られていた。初戦は正直、完敗だったと思います。

 2戦目に関しては、いろんなエクスキューズは有ります。相手は4人しかメンバーを変えていないなかで、日本は9人を変更。コンディションやフレッシュさということで言えば当然日本の方が元気なわけです。

 さらに初戦を外から見ていたわけで、これぐらい来るというのを想定し、自分たちは負けちゃいけないと、最初の15分くらいバチバチやっていました。勝ったり、負けたりするなかで慣れていった部分や、海外の選手の強度にJリーガーたちがやりながら成長していった部分もあったと思います。

 そして前半の終了間際にロングボールから先制し、初戦でやられた空中戦で、セットプレーから2本奪って勝利でした。
 

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