【インタビュー】アンドレス・イニエスタ「いまもフットボールを楽しめているよ」

2015年04月30日 ホセバ・ララナガ

「僕は何も変わっていないし、同じプレーができている」

変わりゆく環境のなかで、いまイニエスタは何を考え、どう感じているのか――。 (C) Getty Images

――バルサのトップチームに定着して以来、もっとも難しいシーズンを過ごしているんじゃない?
 
「そう? 自分ではそんなふうに思っていないけど」
 
――最終ラインから前線へと、頭上を通過するボールを眺めてばかりで、首が痛くなることは?
 
「いや、ないよ」
 
――今シーズンはまだリーガで1ゴールも挙げていない。どこか歯車が狂ってしまったんだろうか?
 
「そうかもしれないね。でも、僕は数字に固執するタイプじゃない。ゴールがなくても、あまり気にはしていないよ」
 
――まさか、アンドレスの全盛期が終わりを迎えてしまったわけではないよね?
 
「それはないよ。もし僕自身がそう感じたら、つまり、僕が理想とするパフォーマンスができなくなってしまったら、バルサではとっくに試合に出られなくなっているはずさ。騙し騙しのプレーが許される場所ではないからね。
 
 長いシーズンの中で、好不調の波は誰にでもあるもの。すごく良いときがあれば、なにをしたってうまくいかないときもある。それでも、僕たちはつねに前を向かなければならないんだ。
 
 でも、心配はいらないよ。僕はいまもフットボールをちゃんと楽しめているからさ。それに僕にとって大事なのは、自分のプレーの良し悪しじゃない。シーズンが終わったときにチームがひとつでも多くのタイトルを獲得していること。それがなによりも重要なんだ」
 
――試合中に、運動量やスピードの低下を実感したことは?
 
「いや、いまのところないね。今シーズンはむしろ、運動量は増えてるんじゃないかな。コンディションはすごくいいんだ。ただチームはつねに変化を続けているわけで、その中にいれば、役割やプレースタイルに影響が出るのは当然のこと。
 
『以前のようなプレーが見られなくなった』って声をときどき耳にするけど、調子が悪いわけではないんだ。実際、『イニエスタはいつも通りだ』って評価してくれる人もいるし、それに僕は、自分のプレーに自信を持つこと、その大切さを知っている。
 
 まあ、最近はチームが好調だから、自然とポジティブでいられるんだけどね。これからも僕は、フォア・ザ・チームの精神でプレーしていくまでさ」
 
――バルサにしてもスペイン代表にしても、相手の対策が進んで、チームも君も、以前のようにはプレーができなくなっている。
 
「そうだね。でも、それは仕方のないこと。現在と同じ過去はないし、現在と同じ未来もない。たしかに僕は、数年前にそのふたつのチームで栄光を勝ち取った。ただ、それらを失ったからといって、選手としてのクオリティが劣化したことにはならない。
 
 僕は何も変わっていないし、以前と同じようにトレーニングに取り組み、同じようなプレーができている。変わったのはむしろ僕を取り巻く環境だ。
 
 さっきも言ったように、シーズンは長く、その間にはいろんなことが起こる。ある一時期のプレーだけを切り取って、イニエスタは変わったとか、元に戻ったとか、いちいち言っていたらキリがない。僕は以前と同じようにフットボールを満喫しているんだからね」
 

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