吉田、冨安、遠藤のトライアングルは日本代表史上最高。“日本らしい戦い”の肝に

2021年03月26日 佐藤俊

海外での経験がプレーの安定感にも繋がっている

韓国の前に立ちはだかった日本代表のトライアングル。左から遠藤、冨安、吉田。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 韓国戦は、新顔が溌剌としたプレーを見せた。

 代表のデビュー戦となった右SB山根視来は、代表初ゴールとなる先制点を決めるなど、攻守に貢献し、まるで川崎フロンターレにいるように落ち着いてプレーをしていた。約2年ぶりに代表に復帰した守田英正は自らがレギュラーとなり得る価値があることをプレーで証明してみせた。

 彼らが緊張することなく、自分のプレーを発揮できたのは、もちろん実力があるからだ。だが、その活躍の背景には、CBの冨安健洋と吉田麻也、ボランチの遠藤航の"トライアングル"の存在が大きく寄与していたと言えよう。

 この3人のユニットの安定感は、日本代表史上最高ではないだろうか。

 吉田はサンプドリア、冨安はボローニャでプレーし、ともに試合にコンスタントに出場し、日々セリエAを舞台に"国際試合"を戦っている。もともとDFとしての能力が高いのもあるが、海外での経験は国内組の選手は決して味わえるものではなく、その積み重ねがプレーの安定感にも繋がっている。
 
 これまで代表のCBは、国内組がメインだった。

 02年日韓大会でベスト16に入った時の3バックは宮本恒靖、松田直樹、中田浩二、06年ドイツ・ワールドカップのCBは宮本と中澤佑二、坪井慶介、10年南アフリカ・ワールドカップでベスト16を達成した時は中澤、田中マルクス闘莉王で、みな国内組だった。14年ブラジル大会、18年ロシア大会でのCBは吉田がサウサンプトン(イングランド)でプレーしていたが、ブラジルでのパートナー森重真人、ロシアでの昌子源はともに国内組だった。

 それは日本人のCBが欧州への移籍を実現できていなかったからでもあるが、吉田が成功し、冨安が続いたということでもある。今やふたりは世界に通用するCBに成長し、現代表でもふたりの力は抜きん出ている。代表ではお互いを補完し合い、息の合ったプレーを見せ、深い信頼関係を構築しているのが読み取れる。

 韓国戦の前半はシュート1本しか打たせず、ほぼパーフェクト。後半は、相手が高い位置でポジション取りをして、攻められる時間が増えたが終始冷静にプレーし、SBの山根と佐々木翔、ボランチの守田らを上手く使って外に追いやり、ふたりは中をカッチリ締めて得点を許さなかった。
 

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