【CLポイント解説】開始14分で勝負あり! ネイマールの先制弾が象徴的に示した歴然たる力の差

2015年04月22日 片野道郎

個人能力で相手を屈服させたネイマールとイニエスタ。

1)主役はネイマールとイニエスタ
 
 2試合合計スコアは5-1。勝負そのものは、前半14分にネイマールが先制点を決めた時点で、99パーセント決着がついていた。というのも、このゴールそのものがバルセロナの圧倒的な優位を象徴するような形で生まれたからだ。
 
 敵陣でのハイプレスでボールを奪った後、相手のカウンタープレスを逃れるため一旦最後尾に戻し、そこからポゼッションで組み立て直そうとするのはいつものパターン。
 
 しかしこの場面では、自陣に戻ってボールを持ったイニエスタが、当たりに来るパストーレ、カバーニ、ヴェッラッティをドリブルで次々とかわして50メートルを独走、裏に走り込んだネイマールに絶妙なスルーパスを送り込んだ。
 
 ネイマールはさらにドリブルでGKをかわして、右アウトサイドで鮮やかにゴールネットを揺らした。
 
 イニエスタ、ネイマールの圧倒的な個人能力の前に、パリSGはなす術なく屈服させられた格好である。第1レグでスアレスに翻弄されて2失点の原因となったD・ルイスは、この場面でも身体の向きが悪いためネイマールの走り込みにまったく対応できず、あまりにあっけなく裏を取られている。
 
2)組織力でもバルセロナが上手
 
 ゴールを奪わなければ勝ち上がれないパリSGは、立ち上がりから積極的に前に出てハイプレスを仕掛け、バルセロナのポゼッションを分断しようと試みた。しかしパストーレ、イブラヒモビッチ、カバーニという前3人の動きに連動性がなく、あっさりかわされて中盤にボールを運ばれる場面が目立った。
 
 バルセロナは、CBやボランチがプレッシャーを受けて出しどころがなくなっても、両足で正確にボールを扱えるGKテア・シュテーゲンがパス回しに加わることで、常に数的優位を確保してポゼッションを安定させることができる。結局、パリSGが敵陣でのハイプレスからボールを奪回する場面はほぼ皆無だった。
 
 バルセロナは守備の局面においても完全にパリSGを凌駕していた。
 
 常に3ラインの間隔をコンパクトに保ってチーム全体を押し上げるだけでなく、ボールロスト直後にアグレッシブなプレスを組織的に敢行するメカニズムが確立されているため、相手に展開のスペースと時間を与えない。
 
 パリSGはボールを奪っても自陣から持ち出すことすらままならず、最前線のイブラヒモビッチが初めてまともな形でボールを持って前を向いたのは、先制点を奪われた後、前半16分のこと。そして初めてシュートを放ったのは、すべての希望が潰えた73分になってからのことだった。

次ページ少なくとも最後まで戦い抜いたパリSGに拍手を。

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