「J1でやれる選手に」九州新人戦で躍動した佐賀東の10番・吉田陣平。渡仏、高校選抜を経験して深めた自信

2021年02月24日 松尾祐希

ゼロックス杯前座試合を終えて、東京から長崎まで「移動はえぐかった(笑)」

佐賀東の司令塔としてチームを九州新人戦で準優勝に導いた吉田。来季の活躍ぶりにも注目が集まる。写真:松尾祐希

 前にボールを運ぶスキル、アタッキングサードでのパワフルなドリブル突破、パンチの効いたミドルシュート――。佐賀東の10番を背負う吉田陣平は抜群の攻撃センスを発揮し、今後の飛躍を予感させた。

 2月20日から3日間の日程で行なわれた九州新人戦は国見の優勝で幕を閉じた。その中でポテンシャルを示したのが、準優勝となった佐賀東の吉田だ。20日まで高校選抜の活動に参加していたため、今大会は2日目からチームに合流。前日の夜に長距離移動をした影響が懸念されたものの、予選リーグ突破が懸かった那覇戦ではスタートからピッチに立った。すると、疲労を感じさせないプレーで期待に応える。

「東京から長崎までの移動はえぐかった(笑)。だけど、那覇戦前日の深夜に戻ってきても、疲れはあまりなかった。高校選抜では(FUJI XEROX SUPER CUPの前座試合である)"NEXT GENERATION MATCH"に向けて調整する感じだったので、疲れとかもなく、自分としてはやれた感じでした」

 本人が試合を振り返った通り、那覇戦は1ゴール・4アシストの大暴れ。吉田の活躍もあり、チームは7-0で勝利を手にした。得失点差では一番不利な状況だったが、見事にひっくり返して決勝トーナメント進出を決めた。

 準決勝ではプレミアリーグ勢の東福岡にPK戦で勝利し、迎えた国見との決勝。吉田は4-4-2のボランチで先発出場をすると、中盤の底でボールを捌きながら、得意のドリブルで前線にボールを運んでいく。寄せの早い相手の守備陣に苦戦したものの、狭い局面でもボールを失わない。フィジカル面でも当たり負けせず、攻撃の起点として存在感を放った。0-1で迎えた26分には左サイドからカットインし、右足でミドルシュートを見舞う。惜しくもこれはGKに阻まれたが、抑えの効いた強烈な一撃だった。試合は0-3で敗れたものの、インパクトを残したのは確かだろう。

 昨年、吉田は1月に渡仏し、現地の社会人チームや6部のクラブで2週間ほどプレー。そこでフィジカルの強さを目の当たりにし、帰国後は身体の使い方や筋力強化に励んできた。昨夏にチーム事情でサイドハーフからボランチにコンバートされると、課題だった守備面で大きく成長。攻守の切り替えや球際の強さが向上し、昨秋の高校サッカー選手権予選では下級生ながらチームの中心として振る舞った。
 

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