「世界一になっていない」ライバルからバカにされ続けてきたパルメイラス、まさかの準決勝敗退で赤っ恥…「永遠に笑かしてくれ」 【クラブW杯】

2021年02月10日 リカルド・セティオン

根負けしたFIFAはFAXを一枚送りつけ…

欧州王者バイエルンと対戦する前に敗れ去ったパルメイラス。モチベーションは高かったはずだが……。(C) Getty Images

「Palmeiras nao tem mundial(パルメイラスはワールドカップを持っていない)」

 このフレーズはブラジルでは有名なジョークのひとつだ。

 ブラジル人にとってサッカーは宗教に等しい。代表につけ、クラブチームにつけ世界の頂点に立つことは非常に大きな意味を持つ。そのため、世界で最も「クラブワールドカップ」を重要視している国であるかもしれない。

 サンパウロ州には4つのビッグチームがある。サンパウロ、コリンチャンス、パルメイラス、サントス。その中でパルメイラスだけが、いまだ世界一になったことがない。だからライバルチームのサポーターは、ことあるごとにパルメイラスを冒頭のフレーズでからかった。
 
 それが悔しかったパルメイラスは、クラブワールドカップの歴史を手繰り寄せ、コパ・リオの存在にたどり着く。これは1951年に行なわれた世界初の大陸間のクラブチームの大会でもパルメイラスは優勝しているのだ。

 しかし参加したチームは、各大陸のチャンピオンではない。コパ・リオはどちらかというと親善試合の色合いが濃かった。しかし、どうしても世界のタイトルが欲しいパルメイラスは、2001年に弁護士をたて、FIFAに対してこの大会が正式なクラブワールドカップの祖であることを認めさせる運動を始める。FIFAが認めてくれれば、パルメイラスはもうからかわれずに済むのだ。

 働きかけは何年も続き、とうとう根負けしたFIFAは、2007年にパルメイラスのタイトル保持を認めた。ただ、FIFAからはFAX一枚が送られてきただけだったが……。ちなみに、第2回のコパ・リオの勝者やその他の大陸間の大会の優勝チームも、それなら自分たちもと騒ぎだしそうなので、FIFAはこの件に関してだんまりを決めている。

 FIFAのお墨付きをもらったパルメイラスは大喜びだったが、他チームのサポーターは、これも揶揄し始めた。例えばバック・トゥー・ザ・フューチャーの画像をもじって「1951年に行ってみたが、パルメイラスはワールドカップに勝ってなかったぞ」などという風に。また世界各地の名所で「Palmeiras nao tem mundial(パルメイラスはワールドカップを持っていない)」と書かれた紙を持って記念撮影するのも大ブームとなった。
 

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