【英国人記者の目】「ミナミノよ、わがままであれ」サウサンプトンで良いスタートを切った南野拓実が、新天地で心がけるべきこととは?

2021年02月10日 スティーブ・マッケンジー

「ここで成功するだろう」という憶測は確信に変わった

レンタル加入決定後、すぐに試合に出場した南野。ゴールという結果は文句なしにいいデビューとなった。(C)Getty Images

 南野拓実が先週の土曜日、プレミアリーグで2度目のデビューを果たした。しかも、素晴らしいお土産付きで。

 あのゴールは誰が見ても素晴らしい。対戦相手の巡り合わせも良かった。ニューカッスルは南野が力を発揮しやすい時間と空間を与え、彼はそれをきちんとものにすることができた。

 思えば、試合前からチームメイトが彼を受け入れようとする積極的な態度を見せていたのが印象的だった。キックオフ前に、FWネイサン・レドモンドが南野をハグし、激励していた。「タキ、声を出せよ!」という声も聞こえた。彼らは日本人アタッカーを必要とし、チームを助けてくれる存在を歓迎していたのだ。そしてその期待に、南野はゴールというかたちで応えた。

 あのゴールには、彼がチームにもたらす良さがすべて詰まっていた。中盤の右サイドにいた南野がボールをもらうために動き出し、絶妙なファーストタッチでDFを振り切ると、左足を一閃して強烈なフィニッシュ。チームメイトと喜び合う姿はまだややぎこちなさが残ったが、時間が経つにつれてほどけていくだろう。
 
 もうひとつ、「ミナミノはここでプレーできる」と確信できた理由がある。豪雨のなかでも決して走力の落ちない姿を確認できたからだ。普段よりも体力を求められる試合で、なかなか試合に出ることができなかったはずの彼が、常に精力的に走っていた。

 彼の衰えなかった体力とチームのために走り続ける精神力には驚嘆せざるを得ない。長く戦列を離れてから、いきなりトップチームの試合に出場することは、選手にとって負担が大きい。しかも、これまでと異なる環境、チームとなれば、よりいっそう難しいだろう。

 だが、南野の姿からはそんなネガティブな要素は伝わってこなかった。彼はリバプールを離れることを悲観しているわけではなく、フィールドで走り回ることへの喜びに満ちていたに違いない。

 新天地でのファーストゲームを終え、加入前から囁かれていた「南野はサウサンプトンで成功するだろう」という憶測は、私のなかで確信に変わったといってもいい。多くのセインツファンやメディアにとっても、そうだったのではないだろうか。

【動画】南野拓実、新天地デビュー戦でゴール! サウサンプトン対ニューカッスル戦のハイライトはこちら

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