シュツットガルトの遠藤航はもう、無名の選手ではない。相手チームも警戒する、その傑出した能力とは?【現地発】

2021年02月07日 中野吉之伴

遠藤はブンデス全試合で先発出場を続けている

ブンデス1部初シーズンながら、十分なインパクトを残している遠藤航。(C)Getty Images

 ドイツのDFBポカール3回戦で、遠藤航が所属するシュツットガルトは、ボルシアMGと対戦した。2分、サイラス・ワマンギトゥカが相手CKからのカウンターで先制点を決めたが、ボルシアMGは前半終了間際にマルキュス・テュラム、50分にはアラサンヌ・プレアのゴールで逆転に成功。その後はスコアが動かず、シュツットガルトは敗退となった。

 この試合で、遠藤はキャプテンとしてフル出場を果たしている。この前の試合で本来キャプテンのゴンザロ・カストロが負傷退場したためではあるが、チーム内ですでに遠藤の立ち位置は最上位クラスといえるだろう。

 スベン・ミスリンタートSDは、20年11月、遠藤と2024年までの契約延長を締結した際、次のように話していた。

「サッカー選手としてのクオリティはもちろんだが、それに加えて、彼の持つメンタリティとプロフェッショナルな心構えから、ワタルは優れたリーダーだ。クラブへのアイデンティティにあふれ、自分たちが志向するサッカーを体現してくれる。

 チームメイトから最高レベルの評価をされているし、ここまで彼が披露してくれているパフォーマンスは、それこそ我々が期待していたもの以上だ」

【ハイライト動画】遠藤がキャプテンマークを巻いてプレーしたボルシアMGとの一戦はこちら
 今シーズン、遠藤は第20節終了時で20試合すべての試合でスタメン出場。4-1で快勝した15節アウグスブルク戦だけ90分に途中交代となったが、それ以外は全試合で最後までピッチに立っているのは特筆すべき点だろう。

 1対1の競り合いの強さはもちろんのこと、遠藤の良さは、やはりその判断力にある。

 彼は、デュエルが大事だからといって毎回ボールを奪いに行くわけではない。不用意に飛び込めば相手が優位な状況に持ち込まれてしまう。どのタイミングと距離とコースなら奪いきれるのかを見定め、行けるときは迷わない。そうではないときは、次の選択肢を探す。守備の薄いところへ運ばれないようにコースを切り、攻撃のスピードを遅くさせるために振り向かせないことを重視し、自分が動いたスペースを使われないように帰陣イメージも忘れない。

 攻撃でも同様だ。いつ前に出るのか、いつステイするのか、いつ素早く前線にパスをあてるのか、いつ落ち着けるのか。そのあたりのスキャン能力がとても高い。

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