宿敵アルゼンチンの2強撃破に沸くブラジル! パルメイラスとサントスの“貧富の差”対決の行方は――【コパ・リベルタドーレス決勝】

2021年01月30日 リカルド・セティオン

“レイラおばさん”のおかげで南米随一のリッチクラブに

対照的なパルメイラス(上)とサントス(下)の対決に注目が集まる。(C)Getty Images

 コパ・リベルタドーレスが、南米でどれほど重要な位置を占めているのかは、一言で説明するのは難しい。

 大陸のナンバー1を決めるというのなら、欧州チャンピオン・リーグやアジア・チャンピオンリーグなどと同じではないか。そう皆さんは思うかもしれない。しかしそれは違う。断じて違う。
 
 南米のクラブが、タイトルという名誉以上に手に入れたいもの、それはその優勝賞金だ。ここ3年間の例だと、決勝にたどり着いただけで、両チームが620万ドル(約6億2000万円)をもらえる。そして、優勝すればさらに1550万ドル(15億5000万円)ドルが手に入る。この賞金によって、3~5年は生き伸びられるクラブも少なくない。

 賞金それだけではない。決勝のTV放映権は高額だし、露出度が高くなるからスポンサーもつく。そしてその後にはクラブワールドカップが待っている。ここでの賞金、放映権料もついてくるのだ。経済的に困窮する南米のチームにとって、コパ・リベルタドーレスの戴冠は、チームの将来を大きく左右するのである。
 
 それにしても今回の決勝は、我々ブラジル人にとっては特別なものとなった。対戦するのはパルメイラスとサントス。ブラジルのチーム同士が決勝でぶつかるのは60年の歴史の中でもたった2回しかない。直近では、14年前にインテルナシオナウとサンパウロが対戦した時だ。

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 今年のファイナルがもう一つ特別なのは、舞台がブラジルであることだ。最も巨大で、美しいサッカーの殿堂「マラカナン」で、母国のチームが南米一の地位をかけてぶつかる。これに興奮しないブラジル人はいないだろう。ブラジル同士が決勝で、ブラジルのスタジムで戦うのはこれが史上初である。ただし、頂上でぶつかる両チームの状況は真逆と言ってもいいほど対照的だ。

 パルメイラスは現在南米でもトップ3に入る戦力を誇るチームだろう。経済的にも組織的にも健全だ。最も難しいというサンパウロ州リーグで優勝し、現在のブラジル全国リーグでも上位にあり、選手の補強でもこれほど投資しているチームはない。

 ホームスタジアムはブラジルで最もモダンで、バイエルン・ミュンヘンと同じアリアンツが後援している。しかしパルメイラスの何よりの強みはレイラ・ペレイラという大富豪の婦人だ。信用銀行と大学も経営する彼女はこの5年間、チームに金を出し惜しみしたことはないのだ。

 サポーターには"レイラおばさん"の名で親しまれている彼女は、いつかはクラブの会長になるのではとも言われている。フェリペ・メロという高額な選手を買えたのも、ヨーロッパから監督を連れてこられたのも、すべては彼女のおかげだ。いまやパルメイラスは南米で最もリッチなチームであろう。

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