「進化は止まった」突如スランプに陥ったエムバペにバッシングの嵐! 仏メディアが指摘する不調の原因は…【現地発】

2021年01月30日 結城麻里

ケガから復帰後は「グリグリ」を連発

22歳にしてパリSGで通算100ゴールを達成したエムバペだが…。(C)Getty Images

 リーグ・アン第21節で2ゴールをマークし、1月28日時点で14ゴールと得点王レースのトップを独走中のキリアン・エムバペ。だが、実は長いスランプに陥っている。

 その兆しが見えたのは、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)ファイナルでバイエルンに敗北し、不甲斐ないパフォーマンスに終わった辺りからだ。パリ・サンジェルマンはその後、当時の監督(トーマス・トゥヘル)の意向に反して1週間の休暇を与え、選手たちがバカンス先で次々と新型コロナウイルスに感染。慎重なエムバペはこれを免れたかに見えたが、少し後にやはりコロナ陽性となって戦線を離脱。次いでやっと復帰したかと思いきや、今度はケガに見舞われた。

 ピッチに復帰したエムバペは、失望を買い始めた。ゴール数が減り、猛スピードで走り出す姿も消え、守備の努力をせず、フランスで「グリグリ」と揶揄される動作ばかり連発するようになったのだ。「グリグリ」とは、またぎ連発のドリブルやフェイント、股抜き、ヒールなどのテクニックを"魅せるために"披露することで、決定的な何かにつながれば絶賛されるが、効果がなければ、苛立ちを買う。

 エムバペ自身の「ボディランゲージ」も変化してしまった。当初の爽やかな笑顔はすっかり消え、眉間に皺を寄せてフラストレーションや不満を表す態度が目立つようになった。このため、2020年晩秋からは、バッシングまで始まった。一部サポーターはエムバペに怒りをぶつけ、ジャーナリストやウォッチャーも厳しい批判を開始したのだ。

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「エムバペはもう以前のようにボールを呼びこむ走りをしようとせず、足下にボールをもらうことばかり考えている。その結果、グリグリを連発して、結局は何もできないまま終わっている。もう昔のエムバペではなくなった」(元ポーランド代表リュドビック・オブラニャック)

「進歩が止まってしまった。アイドルのクリスチアーノ・ロナウドを真似ているが、ロナウドはすさまじい努力家だったからここまできた。だがどうもエムバペはそうではなさそうだ」(アナリストのジル・ファバール)

「もちろんスタッツに問題はない。だが自分のスタッツばかり考えて、チームのために働いていない。本来のパフォーマンスはなくなっている」(テレビジャーナリストのジオバンニ・カスタルディ)

 などなど、あまりの批判の嵐に、フランス代表のディディエ・デシャン監督が自ら「確かにキリアンは以前よりよくない時期を通過しているが、それをもって『悪い』というのはいくら何でも言いすぎだ。これだけゴールを決めている選手はそうはいない」と弁護したほどだった。
 

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