「1年で関東1部へ昇格したい」GMが語る2021年の南葛SC――期待大の新加入選手と退団選手のレガシー

2021年01月26日 伊藤 亮

「現在のレギュラー選手もポジションを失う可能性がある選手の獲得」

昨年、社員選手として入団した元C大阪の楠神。新シーズンも有力大学卒のルーキーのほか、元Jリーガーなどを獲得するようだ。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 島岡健太監督から森一哉新監督へバトンは継がれ、目指すべきサッカーの継続性は保たれた。

 では次に、その目指すべきサッカーをさらに高め、関東リーグを勝ち抜くために、どのような選手を補強するか。岩本義弘GMの頭の中では、はっきりとしたテーマが決まっていた。そのテーマに基づき、次々と発表される新加入の選手たち。一方で、去りゆく選手たちの存在も忘れていない。

 インタビュー企画第2回は、チーム編成方針とその手応えについて話を聞いた。ここに、2021年の南葛SCの骨格が見える。

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 島岡健太監督が2020年シーズンに築いた「ボールを大事にするサッカー」、それを継続する方針と指導陣は決まった。そして次は、カテゴリが関東リーグに上がり、標榜するサッカーレベルをさらに高めることから逆算して選手を集める。岩本義弘GMが考えたテーマは、「現在のレギュラー選手もポジションを失う可能性がある選手の獲得」だ。

「そうでないと獲得する意味がないので。そして新たに加入する選手の70~80%は大学生にしようと、現在リストアップして動いています」

 これまでも、大学卒業直後の選手が南葛SCに入団することはあった。しかし、2021年からは本格的に若手の獲得に乗り出す。現に2020年末には中央大からGKの飯吉将通、国際武道大からMF井上海希の入団が立て続けに発表された。

「飯吉は関東大学サッカーリーグ1部の中央大で1年からレギュラーを務めていた選手で、足下の技術は大学生の中でもトップクラス。昨年川崎フロンターレでブレークした三笘薫が筑波大4年生の時に対戦した試合の映像を見たのですが、三笘を中心に放たれるシュートを止めまくり無失点に抑えるなどセービングもうまい。国際武道大の井上海希は東京ヴェルディユース上がりのボランチです。昨年夏に練習参加してくれて、その時点で獲得する意向もあったんですが、大学のリーグ戦が残っていた関係でこのタイミングでの入団になりました。小柄ですが、今の南葛SCのサッカーに間違いなく合っている」

 若く、ハイレベルな大学生の選手たちを獲得できたのには理由があると考える。
「新型コロナウイルスの感染拡大により、例年よりJクラブ入りする大学生の人数が少ないんです。12名の選手がJリーグ入りした明治大学は特例として、将来への投資が控えめになりがちな現在の状況は、南葛SCにとっては逆にチャンスだととらえています。関東大学サッカーリーグ1部には、今の日本のサッカー界でいうとJ3と同レベルくらいの実力の選手たちが揃います。そういった選手たちが南葛SCを選択肢のひとつと考えてくれるのは、関東リーグ2部に昇格できたことのメリットでしょう。昇格したことで注目度が上がっているのと、Jリーグ入りまで最短3年、しかもJリーグ百年構想クラブにも認定されていることで、22歳の大学4年生からすると、南葛SCの選手としてJリーグでプレーするイメージを我々が思っている以上に持ってくれているのだと思います」

 また、1月22日にクラブから加入がリリースされた岡田翔平(サガン鳥栖、湘南ベルマーレ、ザスパクサツ群馬でプレー)だけでなく、Jリーガーからの問い合わせの件数も例年にないほど増えているという。これも、関東リーグ昇格を果たしたからこその反応だろう。
 

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