衝撃のハットトリック!青森山田を3年連続の決勝へ導いた安斎颯馬の決定力。クローザーからの転機となったのは…

2021年01月10日 安藤隆人

昨年までは準レギュラーの立場。守備のクローザー的な役割が多かった

準決勝でハットトリックを達成した安斎(中央)。夏以降、得点力が格段に上がった。写真:徳原隆元

[高校選手権 準決勝]青森山田(青森)5-0矢板中央(栃木)/1月9日(土)/埼玉

 圧巻のハットトリックだった。青森山田において10番と並ぶダブルエースナンバーである7番を背負うMF安斎颯馬(3年)は、準決勝の矢板中央戦で大爆発。チームを3年連続の決勝に導いた。

 昨年、彼が背負っていたのは15番。準レギュラーと言える立場で、役割も僅差やスコアレスの接戦で投入される守備のクローザー的な役割が多かった。FC東京U-15深川時代は、背番号10のユニホームを身に纏い、右サイドを主戦場にするアタッカーだった。だが、競争の激しい青森山田の中で、彼は持ち前のスペースの感知能力と運動量を守備に活かすことでトップの試合に食い込んで行く道を選んだ。

 そして今年、彼はどこで起用されるかが注目だった。アンカーが予想されたが、このポジションには2年生の宇野禅斗が入ったことで、安斎は1列前に上がって松木玖生(2年)と2シャドーを組むことになった。

「昨年はなかなか試合に出られなくて、ポジションを一列前に上げても、なかなか思うようなプレーができなかった」と、当初は自らの力を発揮できずにいたが、8月30日にスーパープリンスリーグ東北が開幕すると、堰を切ったようにゴールを量産。

「スーパープリンスリーグが僕にとってのターニングポイントとなりました。ゴールを重ねたことで大きな自信になった」と語ったように、開幕戦で2ゴールを挙げてからは、決勝まで全試合ゴールをマーク。第2節の聖光学院戦でハットトリック、第5節のモンテディオ山形ユース戦では4ゴールを挙げ、6試合で計13ゴールを叩き出し得点王に輝いた。

「玖生にマークが集中する分、僕がよりフリーになるし、僕が点を取ることで玖生も空いてくる」

 安斎のセカンドストライカーとしての才能が開花したことで、松木や1トップの名須川真光(2年)へのプレスが緩和されてチームの攻撃力は倍増した。

 今大会でも安斎の躍動は止まらない。初戦の広島皆実戦で試合を決定づける圧巻のドリブルシュートを沈め、3回戦の帝京大可児戦では鋭い飛び出しでPKを獲得。CB藤原優大が決めたこのPKは、2点リードから1点を返され、相手の追い上げムードだった流れを断ち切る貴重なゴールとなった。
 

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