帝京大可児が臨機応変の布陣変更で快勝!鋭い分析眼を示したチームの心臓が16強入りの原動力に【選手権】

2021年01月03日 安藤隆人

立ち上がりは相手の出方を窺い特徴を分析。ダブルボランチからワンボランチへ変更

帝京大可児のキャプテン小宅がゴールを狙う。写真:早草紀子

[高校選手権2回戦]帝京大可児2-0明徳義塾/1月2日(土)/味フィ西

 今年の帝京大可児は1トップの大森涼(3年)の個人技、左MFの渡邉眞士(3年)のゴール前への侵入、そして右のレフティテクニシャン・三品直哉(2年)という前線のトリプルアタッカーと、トップ下の遠藤颯(3年)の飛び出しを生かしていく攻撃力が武器だ。

 その武器を最大限に引き出すポイントとなるのが、小宅空大(3年)と鈴木淳之介(2年)のダブルボランチ。チームの心臓がどう機能するかが、勝負の行方を決めると言っても過言ではない。

 ベスト16を懸けた明徳義塾戦。2-0の快勝を収めたゲームは、まさにそれを証明する一戦となった。5バック+ダブルボランチの2ラインでブロックを作って守ってくる明徳義塾に対し、どうやって崩していくかが帝京大可児のポイントだったが、ここで光ったのがキャプテンでもある小宅の80分を通したゲームメイクだ。

 小宅は豊富な運動量と危機察知能力に優れ、かつ球際の激しさでボール奪取を得意とするボランチ。コンビを組む鈴木は2年生ながら湘南ベルマーレへの加入が内定しており、攻撃陣の動きに連動して相手のボランチの間や脇のスペースを制して攻撃に関わるプレーを得意としている。

「1回戦の初芝橋本戦と同じように前半で先に点を取りたかった」と語る小宅だったが、立ち上がりからエンジン全開で攻勢に出てしまうとカウンターを浴びて逆に失点をするリスクが高まる。ゆえに立ち上がりは鈴木と2枚で中央を固めながら、相手の出方や特徴を冷静に分析。すると2つの点に気づいた。

 1つは相手の最終ラインが高い位置を取らず、両ウイングバックも上がってこなかったこと。5枚の前に大きなスペースができたことで、「チームの武器である(高い位置での)ポゼッションができる」と判断をした。もう1つは「相手のCB3枚に対し、FWで剥がせると思った」と語るように、大森のフリーマン的な動きを相手は捕まえ切れていなかった。

 この2つから小宅が決断をしたのは、「ボランチは1枚でいい」という判断だった。10分過ぎには鈴木が1.5列目にポジションを取り、4-1-4-1の形に変化。攻撃の圧力を強めると、15分には大森が左サイドからカットインを仕掛け、CBが食いついた瞬間を見逃さずに右でフリーになった三品へスルーパス。三品が放ったシュートはGKに弾かれるが、こぼれを遠藤が詰めて欲しかった先制点を奪った。

 その後も帝京大可児のペースが続き、52分には三品が右サイドの大森に展開。大森が華麗な個人技で突破し、ゴール前に飛び込んだ遠藤に出したパスはDFに引っかかるが、こぼれ球に素早く反応して左足で蹴り込み、追加点を挙げた。
 

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