【早慶戦プレビュー】早稲田は絶対に勝利が必要な“特別な一戦”。逸材・橋本健人を擁する慶應に対し、キーマンは?

2020年12月04日 竹中玲央奈

インカレの決勝よりも多くの観客動員を誇る伝統の一戦

1950年に日本初のナイター試合として開催された第1回から数えて、早慶戦は今年で71回目を迎える。写真:JUFA/REIKO IIJIMA

 12月5日に待ち受ける早慶戦。優勝の可能性を残す早稲田にとっては勝利が絶対条件だが、逸材・橋本健人を擁する慶應も一筋縄ではいかない相手だ。ここでは伝統の一戦を展望する。

 大学サッカーで最も"客が入る"のが、早慶サッカー定期戦だ。全日本大学サッカー選手権(インカレ)の決勝よりも多くの観客動員を誇る伝統の一戦は、大学サッカーを代表するビッグイベントと言って差し支えない。1950年に日本初のナイター試合として開催された第1回から数えて、今年で71回目を迎える。
 
 早稲田と慶應が同一カテゴリーにいる場合、確約された両者の顔合わせは年に3回ある。前期と後期のリーグ戦と、例年夏に行なわれる早慶サッカー定期戦だ。現在、定期戦に限ると早稲田が8連勝中。最後の敗戦は、慶應が河井陽介(現・清水)や田中奏一(現・鹿児島)らを擁した2011年にまで遡る。

 今年は新型コロナウイルスの影響で、リーグ戦の日程がイレギュラーになったこともあり、12月5日に予定されている後期のリーグ戦における早慶戦を、「定期戦」と位置づけて開催されることになった。これは史上初の試みである。夏の恒例行事がなくなった寂しさは残るものの、リーグ戦の一部に組み込まれたことで、より"真剣勝負"の度合いが強まるのは言うまでもない。
 
 ただし、今季の両者が目指すところは対照的で、早稲田は優勝、慶應は残留だ。3年ぶりに1部を戦う慶應は対戦相手へのリスペクト精神を強く持ち、驚くべきハードワークを毎試合のように体現している。なかでも際立つタレントが、3年生ながらJ2山口への入団が内定しており、すでに特別指定選手として今季リーグ戦デビューも果たした橋本健人だ。その左足のキック精度は、現在の大学サッカー界でトップレベル。リーグ戦前期の早慶戦(9月19日)でも、彼の直接FKによって慶應が1-0の勝利を収めている。

次ページ早稲田にとっては、いわばリベンジマッチ

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