「思考力が、現在の成果につながった」早大ア式蹴球部・外池監督が明かす好調の要因と、コロナ禍で感じた選手の成長

2020年12月04日 竹中玲央奈

未曾有の危機で培われた思考力

コロナ禍の中、卓越したマネジメントで一体感のあるチームを作り上げた。選手に求めたのは、考える力だ。写真:徳原隆元

 古賀聡前監督からバトンを受け、現在ア式蹴球部を率いるのが、OBで元Jリーガーの外池大亮監督だ。引退後の社会人生活で知見を広げた、マネジメント能力に秀でた指揮官は、チームの現状をどう捉えているのだろうか。

 関東大学リーグ1部に復帰直後の2018年、早稲田大学ア式蹴球部の監督となった外池大亮は、就任初年度に見事チームを優勝に導く。翌19年は降格の危機に瀕したが、最後まで粘り強く戦い抜き、最終節で残留を勝ち取った。

 そして迎えた3年目の今季は、コロナ禍という未曾有の災厄に悩まされながらも、メンバーの一体感を高める巧みなマネジメントで、チームを優勝争いに押し上げている。

 外池監督に、好調の要因を訊いた。

──今季はコロナ禍によってチームとしての活動が制限されましたが、その中でも好調を維持していますね。

「当然、難しい状況にはありました。ただ、チームとしてこの社会情勢をしっかりと見極めて、理解する機会を作ったんです。なぜ我々はこうした状況で、一般の学生が学校にも来られないような状況の中で、活動を認めてもらっているのか。この社会、この大学があって、自分たちがいる。そのあたりのことを頭の中で整理できた。もちろん我々は、"自分たちの存在意義"というものを日頃から考えるようにしてきたわけですが、そういった思考力が、現在の成果につながったのかと思います」

──監督のおっしゃる「存在意義」とは?

「我々は『日本をリードする存在になる』というビジョンを掲げています。そして、今年は『誰かの活力になる』ことも目標に設定しました。オン・ザ・ピッチはもちろん、オフ・ザ・ピッチの部分も重視し、"広く社会の中でやるサッカー"という位置付けで部の活動を捉え、取り組もうと」

──その中で、特に成長した選手はいますか?

「2年生CBの監物拓歩ですね。自粛期間で顔つきや話す言葉が変わりました。この期間に、しっかりと頭の中を整理できたのでしょう。当初レギュラーとして考えていた4年生のCBが練習試合を体調不良で休んだのですが、彼はそこで得たチャンスを確実に掴んだんです」

──具体的に、どういった点を評価されているのですか?

「守備の応対がすごく良くなりましたね。もともとフィード力はあって、ビルドアップのセンスは抜群。あれだけのサイズ(188㎝)があり、さらに左利きということで、見えるパスコース、パスの角度の付け方に特別なものがある。近くと遠くの両方を見ているし、常にその視野を持ちながらプレーできています」

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