「チームプレーを理解することはない」バルサで孤立を深めるデンベレ。クーマンの“忍耐”もそろそろ…【現地発】

2020年11月07日 エル・パイス紙

「涙が出そう」と褒めていたバルベルデも…

故障を繰り返し、高額な移籍金に見合った活躍がまったくできていないデンベレ。(C) Getty Images

 ウスマンヌ・デンベレは一目惚れをさせてしまう選手だ。リオネル・メッシでさえも、練習中ボールに座りながらデンベレのプレーを目にしていると、当時の指揮官エルネスト・バルベルデの右腕だった第2監督のジョン・アスピアスに対し、その長所を活かす戦術の構築を進言したという。

 バルベルデも「希少価値の高いタレントだ」と評価し、その後任であるキケ・セティエンも就任当初は「能力もインテンシティーも素晴らしい。プレーする姿を見ていると、涙が出てきそうだ」とそのポテンシャルを絶賛していた。

 そして今シーズン、新たな監督としてロナルド・クーマンが就任。「チームにはスピードのある選手が不可欠だ」とかねてから語っているように縦に速い攻撃を好む指揮官との出会いで、デンベレの状況は好転すると期待された。

 実際、プレシーズンの段階では「時間を与えなければならない」と擁護していたものだ。しかしバルベルデ、セティエンが、そしてチームメイトがそうだったように、クーマンの一目惚れも短期間のうちに終わろうとしている。
 
 2017年夏、バルセロナがデンベレの獲得に動いた際に疑問を呈したのが当時ボルシア・ドルトムントの同僚だったマルク・バルトラ(現ベティス)だった。しかしネイマールが電撃退団し、後釜探しに躍起になっていたフロントは、そのクラブOBのアドバイスに耳を貸すことなく獲得に踏み切った。それも移籍金1億500万ユーロ(約131億2500万円)+ボーナス4000万ユーロ(約50億円)という大金を投じて、だ。

 しかし入団してから3年余り、プロ意識の低さに加え、怪我による戦線離脱も重なり、ことごとく期待を裏切り続けている。

 クラブは食事、睡眠、時間厳守などの生活習慣を改善させようと、様々な手を打ってきた。2018年6月にSD(スポーツディレクター)としてエリック・アビダルを招聘したのも、同郷の先輩をお目付け役にする意味合いもあった。しかしなかなかその効果は現れず、それは温厚なバルベルデですら「風船は大きく膨れ上がる一方だ」と皮肉っていたほどだ。

 クーマンはデンベレの出場機会が限られている理由について「ポジション争いは熾烈だ。現時点ではアンス・ファティのほうが序列は上だ」と弁明しているが、ディシプリンや戦術理解力の欠如に不満を抱いているのはもはや隠しようのない事実だ。
 

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