「選手と監督の立場が逆転した」初戦で見えたクーマン・バルサの“明確な変化”とは?【現地発】

2020年10月01日 エル・パイス紙

ファティとグリエーズマンのコントラスト

17歳のファティ(右)の活躍にメッシも感化された? (C) Getty Images

 ルイス・スアレスがバルセロナからアトレティコ・マドリーに移籍した。ラ・リーガにおいて今オフ最大のトレード劇の是非については様々な意見が出ているが、これは双方にとってポジティブなオペレーションだったと言えるはずだ。

 確かにバルサ側から見れば直接のライバルに塩を送った面は否めないかもしれない。ただ近年のバルサはルイス・スアレスが前線に君臨することによって戦い方が制限されていた部分があり、その重しを取ることができたという視点から言えば、必ずしもマイナスばかりではないだろう。実際、ビジャレアル戦でアンス・ファティがMVP級の活躍を見せたのは、スアレスが退団したことによりチーム内での重要性が増したことと決して無関係ではないはずだ。

 リオネル・メッシももちろんその影響を受けた1人だ。いや、彼の場合は最良のパートナーを失ったのだから、その度合いは誰よりも大きい。この日はファルソ・ヌエベ(偽のCF)として起用されたが、今後メンフィス・デパイ(リヨン)とラウタロ・マルティネス(インテル)にターゲットを絞って獲得に動いている前線の補強に成功すれば、状況はまた変わるかもしれない。

 この一戦で2人とともに攻撃を牽引したのがフィリッペ・コウチーニョだ。ロナルド・クーマン監督の信頼も厚く、本職であるトップ下としてプレーした。
 
 ビジャレアル戦で明らかになったもう一つの事実は、クーマン監督がサイドの選手には純粋なウイングよりも得点力のあるFWタイプを好むこと。そしてそのプロフィールに見事に合致しているのが他でもないアンス・ファティで、この日はFW、MF、DFとポジションを問わず周囲の選手と好連携を見せ、決定力に加えコンビネーションプレーにも優れていることを示した。

 一方、逆サイドを任されたアントワーヌ・グリエーズマンは、その器用さ、ハードワーク、守備力、マークを外す動き、深さを作るプレーといった表面に現われにくい泥臭い仕事ができる点を指揮官は高く評価しているが、相変わらずメッシとのコンビが機能しなかった。バルサの選手の中に混ざるとそのプレーはどこか融通が利かない面もあり、アンス・ファティとのコントラストは明らかだった。
 

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