これは“毒入りのプレゼント”?「バルサ新体制はグリエーズマン中心」との予測に、フランス国内で広がる期待と不安【現地発】

2020年08月30日 結城麻里

「クーマンは背番号7を与える」との報道も

メッシが去った後の構想にクーマン監督の「保証」を得たというグリエーズマンだが…。(C)Getty Images

 リオネル・メッシがバルセロナを去りたいと主張している大騒動で、フランス人はフランス代表の「頭脳」アントワーヌ・グリエーズマンの今後に不安を感じ始めている。

 グリエーズマンは昨夏、ソシオから歓迎されたとは言えない形でバルサに入団。メッシも歓迎ムードを見せず、逆にネイマールにバルサ復帰を誘いかけた。グリエーズマンの南米好きをよく知るルイス・スアレスでさえ、あまり友情を滲ませなかった。

 そんななかで主に左サイドで起用されたグリエーズマンは、なかなか本領を発揮できず。徐々に出場時間は減り始め、先発しても途中でベンチに下げられるか、ベンチスタートで終盤に途中投入されるケースが多くなっていった。それでも、苦労人だけに、それでも楯突くことなく、粛々とプレーしていた姿が印象的だった。

 ただグリエーズマンを発掘して育て、長年にわたりアドバイザーを務めたエリック・オラッツ氏は8月27日、「アントワーヌはバルサを去りたいと思っていた」と、本人が人知れず悩んでいたことを明らかにした。
 

 周知のとおりバルサは、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝でバイエルンに惨敗(2-8)。キケ・セティエン監督が直ちに解任され、後任にロナウド・クーマンが就任した。オラッツ氏は、悩みを深めたグリエーズマンが、ついに監督オフィスの扉を叩いたことも明かし、「(クーマン監督と)話し合った結果、安心できる回答をもらった」と現況を解説した。

 一方、権威ある全国紙『L’EQUIPE』も、27日付一面に「アントワーヌ・グリエーズマン プレーの中心に」の大見出しを打ち、うなだれて去るメッシの後ろ姿と、対照的にグリエーズマンが笑顔で走ってくる姿を掲載。

 続く2面では、「クーマン、グリエーズマンを叙位させる」の見出しとともに大型記事を展開し、「クーマンははっきりしたビジョンをもっている」としたうえで、グリエーズマンの「左サイド起用は終了、センターに錨を下ろすトップ下に移行する」、「アトレティコ・マドリー時代の影響力を想起してオランダ人(監督)は、グリエーズマンがよりリーダーの役割を発揮する必要があると強調した」、「グリエーズマンに背番号7を与えることにも同意した」などと報道した。

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